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伍 ─── ページ6

「ほんとにどういうこと!?A!」

「仕事の邪魔です」

電話が切れてから三時間経っても太宰様は同じことしか口にしていなかった。

「『黒蜥蜴』って…………え?え!?広津さん!?りゅーさん!?!?」

大分混乱している様子である。

「話してよーう婚約者なのに冷たいよーう」

対する私は無視を決め込んでいた。

能面のような表情でリズムよくキーボードを叩く。

すると、みかねたのか、乱歩さんが私の肩をつついた。

「Aー。アレ煩いんだけど」

アレと言うあたり、かなり苛ついていらっしゃる。

「もう話しちゃえばいいじゃなーい」

困り顔で駄菓子を振り回す乱歩さん。

…………乱歩さんには私のこともバレてるんだろうなぁ。

乱歩さんの異能力『超推理』は一瞬で謎を解くもの。

私の過去なんて知るのにも造作はないだろう。

「…………駄目ですよ。私の秘密は誰にも話しませんから」

言うと、乱歩さんはニヤリと笑った。

「だったら、太宰から僕に依頼が来ないことを祈ってるんだね」

その手があったか。

思わず私は唸った。

「…………もし依頼が来ても、断ってもらえます?」

「んーAの頼みならそうしてあげようか」

「さすが乱歩さん」

わしわしと頭を撫でてやると、乱歩さんは嬉しそうに肩をすくめた。

「乱歩さん、私のAに近づかないでくださいよー」

そして大人げないやつが一人。

ずるずると使い古した雑巾のごとき湿気でこちらを見つめる。

「Aは太宰より僕がいいんだって」

笑顔で言った乱歩さんに便乗して私も追い討ちをかける。

「誰かさんと違って大人ですもん」

「私って大人げない…………?」

速攻で頷く。

すると、ガクン、と太宰様の首が落ちた。

「…………そうかぁ…………」

私はそちらに目を向けることもなく業務を再開。

国木田が私と太宰様を見比べるが、生憎、彼に構ってられるほど暇ではないのだ。

しかし、まぁ。

「…………やりすぎたかな」

とはいえ、太宰様に死んで欲しいくらいの思いは持っている。

りゅーさんもとい、ポートマフィアの『黒蜥蜴』の百人隊長である広津柳浪に連絡とるくらいには。

なんで連絡がとれるのかは、また別の機会に話すとして。

と、突然社内が騒がしくなった。

「…………何があったのかな」

立ち直った様子の太宰様がさりげなく私の肩に手を置くのを払いのけ、私は席から立ち上がった。

陸 ───→←肆 ───



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椿 - 頑張って下さい。 (7月14日 6時) (レス) @page21 id: 12b579857a (このIDを非表示/違反報告)
まかろん - 更新楽しみにしてます!頑張って下さい! (2021年4月17日 23時) (レス) id: 0d4f326c6a (このIDを非表示/違反報告)
*深音*(プロフ) - 更新待ってます! (2020年2月24日 10時) (レス) id: 3a5cebd5e2 (このIDを非表示/違反報告)
ロット - 抱きたい症候群とは、小説の名前ですか? (2018年5月19日 15時) (レス) id: a63c890358 (このIDを非表示/違反報告)
蓮華(プロフ) - 更新待ってます (2017年5月21日 19時) (レス) id: b4564d59b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:久田 螺々亜 | 作成日時:2016年4月29日 12時

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