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中島 敦 ページ29

夜遅くの探偵社。

人気は全く無く、電気も全て消されていて、不気味だ。

……なんで忘れ物しちゃったのかなぁ。

正直、暗いのは少し怖い。

怖いというか、自然と身がすくむというか。

「……誰か居るの?」

だから、突然の声に対して、僕はすっとんきょうな反応をしてしまった。

「は、はい!? 居ません! 泥棒してません!」

「……敦君……?」

恐る恐る顔を上げると、其処には同じ探偵社員のAがいた。

裏返った声を聞かれたことに恥ずかしさを感じる。

「あ……なんだ、A……どうして」

「たぶん、君と一緒。忘れ物でしょ?」

Aは言いながら自分の席に向かうと、机上の弁当箱を取り上げた。

「私はコレ。敦君は?」

「僕は……」

さっき取ったばかりのファイルを掲げる。

乱歩さんが解決した事件をまとめたもので、少しでも勉強しようと思って借りたのだ。

「乱歩さんの事件簿ね。せっかく社長からお許しが下ったのに忘れるなんて」

お馬鹿さんね。

軽く笑み付きで言われたその言葉に、顔に朱がのぼる。

……なんか、悔しい。

否、非は自分にしか無いことぐらいわかっている。

だけど、いつも余裕そうなAに何かし返してやりたかった。

「……でも、これだけじゃないんだ」

「あらあら。まだあるっていうの?」

頷きながら歩み寄る。

形のよい桜色の唇まであと数センチ───。







「キスだけのつもりだったけど、やめた」

「君のことも持って帰らないとね」

**********

敦「キーラキーラひーかーるーおーほーしーをー押ーしーてー♪」

中原 中也 ───お化け屋敷→←森 鴎外



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青鯖ぷりん - 久ちゃぁぁん…高評価するぅぅ‥! (10月17日 21時) (レス) @page11 id: 496914e067 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - だざいさぁぁんさいこぉ! (10月8日 6時) (レス) @page5 id: dfae0f9c2a (このIDを非表示/違反報告)
ゆかりん - フランシスさんすこ (9月15日 22時) (レス) @page23 id: 5c0b36b6f1 (このIDを非表示/違反報告)
猫助 - 最高です! (8月16日 23時) (レス) @page4 id: 0088b760fa (このIDを非表示/違反報告)
千羽鶴 - 梶井さーん!ドSなとこも好き!違うバージョン梶井さんも見たい (6月18日 23時) (レス) @page15 id: ecb3ef0346 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:久田 螺々亜 | 作成日時:2016年4月8日 21時

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