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綾辻 行人 ページ18

「買い物に行きたい、ですか」

突然の俺の我が儘に、Aは目をぱちくりさせた。

「そうだ。パイプを新調したくてな」

「この間も同じようなこと言って姿を眩ませたって深月先輩が言ってました。ダメです」

「君も堅いなぁ」

大きな溜め息を一つ。

あの娘よりは落としやすいと思ったんだが。

「なら交渉しよう。私は絶対に姿を眩ませない。その代わり、君の欲しい物を幾らでも買ってやる」

「…………」

「どうかね」

耳を澄ますと、微かに唸り声が聞こえてきた。

任務と物欲で迷うとは、まだまだ人間が甘いらしい。

そして待つこと15分。

珈琲を飲んで待っていた俺の肩を、Aがそっと叩いてきた。

「…………買い物、行きましょう」

結局欲に負けたか。

俺は小さな笑みを浮かべると、立ち上がった。

「なら用意したまえ。直ぐに出る」

途端に慌て出すA。

そんなに用意するものは無いだろうに。

「よし!おーけーです!」

「窓の鍵も閉めたか」

「勿論です!…………あれ、いつの間に家政婦みたいな…………」

それよりも、とAは突然俺の服を掴んだ。

「本当に居なくならないで、私の好きな物買っていいんですよね…………!?」

「本当だとも」

信じられないならば、

「んむ…………!?」

落とすのはキス。

厚いAの唇に、己のものを重ねる。

柔らかくて、甘い。

何度でも食んでその味を吸い付くしたくなる。




「誓いのキスは唇に、だろ?」

「帰ってきたらもっと濃厚なやつをやろう。その後もお望みかな?」

**********

綾辻「評価すればキスをやろう」

太宰 治→←中島 敦



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青鯖ぷりん - 久ちゃぁぁん…高評価するぅぅ‥! (10月17日 21時) (レス) @page11 id: 496914e067 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - だざいさぁぁんさいこぉ! (10月8日 6時) (レス) @page5 id: dfae0f9c2a (このIDを非表示/違反報告)
ゆかりん - フランシスさんすこ (9月15日 22時) (レス) @page23 id: 5c0b36b6f1 (このIDを非表示/違反報告)
猫助 - 最高です! (8月16日 23時) (レス) @page4 id: 0088b760fa (このIDを非表示/違反報告)
千羽鶴 - 梶井さーん!ドSなとこも好き!違うバージョン梶井さんも見たい (6月18日 23時) (レス) @page15 id: ecb3ef0346 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:久田 螺々亜 | 作成日時:2016年4月8日 21時

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