【文豪ストレイドッグス】suddenly kiss【短編集】 (ページ31)

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エドガー・アラン・ポーページ31

「こんにちはー」

矢張り今日も来た。

カールがこちらの膝からとびおりて、彼女の方へと向かう。

「うふふ。元気ね、カール」

Aはカールを抱き上げると、今度は我輩に頭を下げた。

「今日もお邪魔します、ポーさん」

「か、かまわないのである」

小声での返答に、Aは軽く笑みを見せて、近くのソファへと座った。

すると、直ぐにカールが本棚へと走って行って、彼女の読みかけの本を持ってくる。

Aが我輩の部屋に来るようになって半年。

ただ本を読みに来ているだけなのだが、

……それだったらわざわざ此処に来なくても。

しかし彼女が言うには、我輩が万年筆を走らせている音が心地好いらしい。

まぁ、此方としてもAの美しい横顔を見ながら作業が出来るというのは有り難いことでもある。

「ポーさんは次は何のお話を書いているんですか？」

唐突に投げかけられた質問に驚いて、机上の原稿が幾枚か舞い上がった。

それらを慌てて押さえつける。

「つ、次……？次は……」

散らばった原稿を軽く纏めてAの所へ持っていく。

Aの隣に座って、其れを読むように促せば、彼女は素直に文字を追い始めた。

「これは……恋愛もの、ですか？」

「そ、そうなのである……矢張り我輩には似合わないであるか？」

「そんなこと言ってません！むしろ新鮮で、早く続きが見たいです！」

……あ。

そう言いながら、瞳をキラキラと輝かせるAはとても美しかった。

奥手な我輩が思わず身を乗り出す程に。

「……ん、ふ……」

突然のキスに驚いたAが少し身を引くのを、抱き締めて離さない。

「そ、そろそろ君と恋愛を始めたいのである……」

「因みに、これに拒否権は無い、のである……！」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

ポー「も、もう、星はいいのでは……？」

作者「いいから読者に媚びなさい！(小声)」