【文豪ストレイドッグス】suddenly kiss【短編集】

江戸川 乱歩 ページ27

……あと５秒でAの声がする。

それも、僕の為に入れてくれたお茶を持って。

今日はすっとぼけてみせようか。

「はい、乱歩さん、お茶どうぞ」

「ありがとう、A。なんで僕がお茶欲しいってわかったの？」

「さっき駄菓子食べながら不機嫌そうなお顔をしていたから、潤してあげようと思って」

そう言ってにっこりと笑うA。

少し首を傾げてみせる動作は凄く可愛らしい。

……矢張り君は周りの事をよく見ている。

「なら、太宰にも持っていってあげたらどうだい？あいつも焼き芋食ってモソモソしていたよ？」

それに、

「彼なら君の事を放っておかないんじゃない？」

……本当は僕の方が放っておきたくないんだけど。

Aのような女の子を太宰なんかに渡したくないのが本心だけど、今日は少し君を虐めたい気分。

だけど、Aはまた笑顔を返してきた。

「ふふ、そうなったらヤキモチやくのは乱歩さんでしょ？」

見抜いてますよ、と言わんばかりの満面の笑み。

思わず僕は、そのまま自分の机に戻ろうと踵を返した彼女の腕を掴んでいた。

驚くAに唇を重ねる。






「焼いた『焼き餅』、食べてくれるんでしょ！」

「お腹一杯食べさせてあげるからね！」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

乱歩「君は星をくれるに決まってる！」

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