国木田 独歩 ページ16
「大丈夫だって!」
「大丈夫じゃないだろう」
「いいから降ろして!」
「家まで着いたらな」
夕暮れ時。
俺はAを背負って家路についていた。
否、向かっている方向は俺の家とは正反対。
…………だが、そうせねばならないのだ。
そんなふうに俺を突き動かす理由も見つからないまま。
「何よ。ただのかすり傷だわ。晶子にも見せるほどじゃないって、独歩も言ったじゃない」
それがどうしておんぶなの。
すぐ側で小さく文句が聞こえてくる。
俺はそれに耳も貸さず、Aを背負い直すと足を早めた。
「ほら、着いたぞ」
「ん…………」
Aはいつの間にか寝入っていたらしい。
生返事をするだけで、動き出す気配がない。
…………家の中まで届けねばならないか…………?
太宰の阿呆だったら喜んで上がり込むのだろうが。
「おい、A?A!」
「布団…………」
「あ、おい!」
ずり落ちそうになるAを慌てて抱き、俺は意を決してドアを開けた。
「お邪魔します…………」
案外部屋の中は乱雑だった。
AらしいっちゃあAらしいが。
敷かれっぱなしの布団にAを寝かせる。
…………全く。目が離せない。
「これくらいの代価はいいだろう」
唇を重ねる。
嗚呼、何故か愛しくて堪らない。
このままずっとキスしていたいほどに。
惜しみつつ身体を離す。
「早く目を覚まして俺を見ろ」
「蕩けた顔のお前も見たいから」
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国木田「さっさと評価しないかっ(クワッ」
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青鯖ぷりん - 久ちゃぁぁん…高評価するぅぅ‥! (10月17日 21時) (レス) @page11 id: 496914e067 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - だざいさぁぁんさいこぉ! (10月8日 6時) (レス) @page5 id: dfae0f9c2a (このIDを非表示/違反報告)
ゆかりん - フランシスさんすこ (9月15日 22時) (レス) @page23 id: 5c0b36b6f1 (このIDを非表示/違反報告)
猫助 - 最高です! (8月16日 23時) (レス) @page4 id: 0088b760fa (このIDを非表示/違反報告)
千羽鶴 - 梶井さーん!ドSなとこも好き!違うバージョン梶井さんも見たい (6月18日 23時) (レス) @page15 id: ecb3ef0346 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久田 螺々亜 | 作成日時:2016年4月8日 21時