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「やぁ、顔色が戻ってよかったよ」
「全く、君は昔から無理をしすぎなんだよ」
燭台切は安心したように笑ってくれた
歌仙は呆れ気味に額を抑えた
苦笑いを浮かべると、長谷部が私の目の前に顔を近づけた
「いいですか主！
あなたの代わりなどどこにもいないのです！
俺達のように手入れで治るお体ではないのですっ！！
それを分かっておられるのですか！？」
近くですごいボリュームで怒鳴られた
思わず耳を塞ぎたくなるけど…
みんな私の為を思ってくれてるんだと考えれば逆に笑顔になってしまった
「何がおかしいのです！
この長谷部は主を心配して言ってるのですよ！？」
こんなに怒られることが嬉しいって思ったのは初めてかもしれない
『ありがとう長谷部、心配してくれて
燭台切も歌仙も夜中まで起きててくれてありがとう』
みんな唖然とした
私はそんなに的はずれなことを言ったのだろうか
『そういえば誰が私を運んでくれたのかな？
部屋にしゃがみこんだのは記憶にあるけど…』
私の問いには何故か燭台切が答えてくれた
「長義くんだよ
部屋で倒れてる君を見つけて薬研くんをすごい勢いで引っ張って行ったからね」
「それで、少し落ち着いてから状況を説明しに戻ってきたんだ
みんな驚いたけど、無理をさせすぎたと思って少し休んでもらおうって事にしたんだ」
歌仙があとを引き継いで話をまとめてくれた
国広と同じで、長義も凹んでそう
私の体調に気づけなかったーって
私が自分の体調を把握しきれなかったことが、今回みたいな事態を引き起こしてしまったんだけどね
『後で長義にお礼を言わないとな〜』
笑いながらつぶやくと、みんな微笑み返してくれた
「じゃあ、僕達も部屋に戻ろうか」
「そうだね
主、何かあったらすぐに呼ぶんだよ？」
燭台切は私の頭を撫でてくれた
「俺達も戻るぞ、三日月宗近」
「あいわかった
主、ゆっくりと休むのだぞ？」
珍しく三日月が世話を焼いてくれた事を思い出して笑った
誰もいなくなった部屋は静かに月明かりで明るかった
そのお陰で、私の部屋の近くに座っている刀がわかったんだけど
『長義、入ってきなよ
もう誰もいないからさ』
座っている影は、私の呼びかけに反応してゆっくりと立ち上がり襖を開けた
とても辛そうな顔をした長義が静かに入ってきた
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作者名：夷空斗 | 作成日時：2019年1月20日 23時
