【花巻貴大】好きになってごめんね【松川一静】

12.悪い予感 ページ18

◆花巻side


今日も桐谷のトコに行ったけど、今日はいないようなので自分の教室へ帰っていた、その時。









甲高い、大きな悲鳴が耳をつき抜けていった。









それも桐谷の。









なんとなく嫌な予感がして、声が聞こえた空き教室へと向かう。









おれが行った時には、既に結構人が集まっていて。









教室の中心には、桐谷と松とAの姿があった。









「なんで松とA……？」









松はAを庇うようにして立っている。









どう見ても、桐谷の方が被害者っぽいのに……









「詩丘さんがいきなり……っ、私にハサミを向けてきて……っ」









そう言う桐谷は、ひどく怯えているように見えて。









ここはおれがかっこよく出ていった方がいいのかな、なんて考えていた時。









「っふざけんな……っ！」









松が桐谷にそう叫んでつかみかかっていった。









「おい！松、何やってんだよ！」



「っ、花……」









松とAは何とも言えない表情でおれを見ている。









「貴大くん……っ！」









そう小さく叫んで、抱きついてくる桐谷。









その姿が、とても弱々しく見えた。

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