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「楽しんでー!」
そう言ってゴンドラの扉を閉める。
『わあ...!綺麗!』
観覧車から見える景色はすごく綺麗で、1枚写真を撮った。
今なら、貴方との出会いを、思い出話として語ることが出来るかな。
『...松田さん。』
「あ?」
『最初は貴方のこと、すごい怖かったです。威圧感すごいし、サングラスかけてたし。』
その言葉に少しだけ眉をひそめた。
『でも、今は怖くないです。こうやって私のわがままに付き合ってくれて。威圧感は今でも変わらないですけど...。』
『貴方と出会えたこと、凄く嬉しいです。貴方のおかげで私は警察っていう夢が出来ましたし。』
「...そーかよ。」
あんな人たらしの幼なじみがいるのだから、褒められる事には慣れてると思っていたのだが。
彼はそっぽを向いてしまう。
『...私はあなたのこと、萩原さんに目標だと言いました。でも、それ以上の想いも持っています。』
奥手な私にしてはよく言った。
本当はこんなこと言うつもりじゃなかったけれど、先程の女子高校生の話に感化されてつい口が滑ってしまった。
彼からの返答を待つ。
しばらくして街の景色を眺めながら彼はこう言った。
「俺は警察官だ。お前みたいな子供と恋愛する気はない。逮捕される側になっちまうしな。」
「ただまあ...俺を目標にするってんなら、時間ある時に俺の解体知識みっちり叩き込んでやるよ。その恋愛脳が無くなるくらいにな。」
きっと振られた、と思う。
でも、気まずくならないのはきっと彼のおかげだろう。
『ぜひ、お願いします...!』
彼の近くに居れるなら、それは本望だ。
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作者名:hjnPRvuDEVdasep | 作成日時:2022年10月13日 19時