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『松田刑事、意外とピュアですね?』
「うるせえな。」
公園への道を歩く。
『...ごめんなさい。』
頭を下げる。
『ほんとは、メールが来てるの気づいてたんです。』
『...でも、余計なことは連絡してくるなって言われてたから。どうでもいいって、突っぱねた返信見るの、嫌で...。』
『それで、こんなに迷惑かけちゃって...っ、ごめんな、さい...っ...。』
我慢していたはずの涙が零れる。
そんな私を見てため息をついたが、ぽんと私の頭に手を置いた。
「あー、泣くな泣くな。」
「...俺が、どうでもいいとか送るわけないだろ。」
『だって松田刑事、私に全然興味無さそうだし...。』
「お前なあ...。」
公園についてベンチに座る。
コンビニの袋からアイスを取りだして、ふたつに割った。
『はい、どうそ。松田刑事。』
「どーも。...ってか、その呼び方やめろよ。」
『え、なんでですか?』
「なんだよ松田刑事って。おかしいだろ。」
『じゃあ、松田さん?』
「...今はそれでいい。」
2人で並んでアイスを食べる。
イチゴ味のアイスが溶けて、口に甘さが広がる。
『そういえば、松田さんは好きな事とか物とかないんですか?』
「あ?何だ急に。」
『気になったんです。』
「...解体。」
『解体?』
「前までは爆発物処理班にいた。」
『爆発物...。』
苦笑いする私。
爆弾といえばあの新一くんたちといった遊園地だなあ。
そんなふうに思っていた私にふっと笑いかける。
「安心しろ。爆発騒ぎがあっても、俺が守ってやるよ。」
この言葉はきっと、松田陣平としてじゃなくて警察として言った言葉だろう。
だけど、それでも嬉しかった。
アイスはふたつ食べれられなかったけど、それを上回る幸せを私は今味わっている。
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作者名:hjnPRvuDEVdasep | 作成日時:2022年10月13日 19時