Excuse me?! ページ3
カチッ
また、音が鳴った。
と、その途端にまた、目には先ほどと変わらないベタ塗りの青空が映る。
「何だったんだ...?」
先程の不可解な現象に首を傾げつつ自転車へと手を伸ばす。が、
「な、無い?!」
私の右手は何かをつかもうとした曲がり方のまま、空を掴む。思い切りバランスを崩して前のめりになる。コケそうなところで何とか踏みとどまった。これは、どういうことだ?
確かにそこに、ついさっきまで自転車はあった。現に私のポケットには、それに差す鍵も無い。
1度、目を瞑って深呼吸をする。もう1度ゆっくり目を開いてみるが自分の目の前の状況は何も変わっていなかった。夢だと言ってくれ...!!
もはや取り乱す余裕もなく、溜息をつきつつ石畳の自分の影に視線を落とす。...ん?石畳?
確かうちの学校の駐輪場はただのコンクリだったはずだ。いつの間にこんな改修工事を...
ゆっくり視線を周りに向ける。そこは、ただの雨風を凌ぐためだけの駐輪場などではなかった。まるで、写真を切り取ったようなヨーロッパの街並みだった。
「え?」
もう訳が分からない。ここまで来たら自転車が消えたことなど些細なことである。いつの間にか私はどこでもドアを手に入れていたらしい。
「見た感じ現代だよな...?」
世界史B選択者としてはもう少し前でも良かったけれど...まぁ、そんなことはどうでもいいんだ。問題はこの状況をどうするか、だ。
「と、とりあえず近くの人に聞いてみる...?」
とはいえここがどこの国かもわからない。英語圏であれば良いのだが...フランスであれば最悪。イギリスであれば万々歳だ。
とりあえず近くにいた茶髪の青年に声をかけてみる。
「Excuse me?」
「...!!Ciao!Cosa c'è che non va?」
え、これは、イタリア語かな...?Ciaoしか聞き取れなかった…。というかこの人どこかで見たことあるような...?えと、イタリアならスペイン語どうだ...?
「Lo siento. En Italia, no sé.Me pregunto si hablan en inglés?(ごめんなさい。イタリア語は分からないの。英語で話してもいいかしら?)」
「...OK」
え、なんかとたんに顔顰めたぞ...?スペイン語ダメだった?!うぅ...こんなことならイタリア語勉強しとくんだった...いや、こんなことになるとも思ってなかったけれど。
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作者名:霽月 | 作成日時:2018年3月3日 1時