Aぇの紅一点神出鬼没のお姫さま (ページ21)

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恋バナしようよ - sakuma ページ21

( you side )

佐久閒「かんぱーい！」

『かんぱーい』

個室の居酒屋でソフトドリンクの
グラスが合わさって音をたてる。
今日もピンクの髪に似合う
元気な佐久閒くんの声が部屋に響いた。

佐久閒「いやー久々だね」

『本当ですね。２人でってなると
いつぶりか思い出せないくらいかもです』

佐久閒「しろちゃん忙しーから
つかまんないんだもん」

『その言葉、
そっくりそのままお返しします』

にゃはーっと歯を見せて笑う
佐久閒くんは一緒にいるだけで
元気が出る気がするから好きだ。

佐久閒「ところでさーあ」

はこばれてくる食事を食べながら、
明日はお仕事が早いのと
あまりお酒を飲まない佐久閒くんに
合わせて頼んだ緑茶を飲む。
話題がちょうどよく途切れたところで
佐久閒くんがこちらを見た。

『はい』

佐久閒「しろちゃんって好きな人とかいるの？」

『好きな人、ですか……？』

思いも寄らない質問に
同じ言葉を反芻すると
彼はもう一度「好きなひと！」と言う。

『ファンの人？』

佐久閒「アイドルの回答！そうだけど！」

『やっぱり違うくてですか？』

佐久閒「このあいださ、
メンバーと泊まりのロケで
なんとなくそんな話しになったのよ」

『Snow Manさんって恋バナするんですね』

佐久閒「普段はしないけどさ笑」

『ちなみに私はSnow Manさんだと
深澤くんの恋バナが気になります』

佐久閒「そこは俺っちじゃないんだ」

『なんか大人そうなので……』

佐久閒「今、深澤の話はいいの！しろちゃんの話！」

『うーん。そういわれても……
話すような恋バナが本当にないんですよね』

好きな人、といわれて
思いつく顔はすぐに
頭の中から排除した。
私が彼を好きだなんて、きっと許されない。

佐久閒「え～ひとっつもないの？」

『う～～～ん』

佐久閒「ならどういう人がタイプ？」

『優しいひと、ですかね』

困ってありきたりな回答をする私を見て、
佐久閒くんは諦めたように別の話題にうつっていった。