☆ ページ10
tk said
「本当は行きたいけど、我慢する」
舞台終わりに家に帰って来たら、ドアの前に慧くんが立ってて、そうやって言って来た。
俺の舞台を見に来たいけど、聞く人みんなに「まだ早い」「だめ」って言われるから、我慢するらしい。
くちびるを尖らせてる可愛い子ちゃんの頭を撫でてあげて、家に招き入れる。
高「ずっと待ってたの？寒いよ」
伊「・・・大丈夫」
高「このフロアは俺たちしか住んでないけど、万が一、知らない人が来たら危ないよ」
伊「なぁ、高木」
高「んっ？」
伊「恋と愛の違いってなんだと思う？」
真面目な顔して聞いて来た。
本当に聞きたかった事はこっちだったらしい。
しかし、難しい問題を持って来たなぁ。
靴を脱いで洗面所で手を洗ってる俺のうしろにぴったり寄り添うように立ってる慧くん。
高「んー難しいけど」
伊「けど？」
高「そのうち、自然に気が付くんじゃない？恋と愛の違いは人それぞれの考えだから。山田と一緒にいたら、そのうち分かるんじゃないかなぁ」
んーって難しい顔したけど、うんってうなずいて、うしろから俺のお腹に手を回して抱きついて来た。
高「ふはっどうしたの？」
伊「舞台で高木が裸になってたよって聞いた。高木のお腹、ぺったんこになってたって」
高「ふははっ、まあ、脱ぐね。脱ぐけど、お腹は元々、ぺったんこだから！」
慧くんの腕の中でからだの向きを代えて、慧くんと顔を合わせれば、嬉しそうに笑ってる。
お腹を慧くんのお腹にくっつければ、ますます笑ってる。
伊「ひゃあっ！ふはははっ」
高「どうだ！お腹、ぐりぐり！」
伊「ふははっ」
お腹とお腹をくっつけて遊んでる33歳。どーよ(笑)
もうすぐ俺の誕生日。
今年もみんなでお誕生日会ができるのは慧くんのおかげ。
これから先も、こうやっていたいなぁ。
高「愛おしいよ」
伊「ふへっ？」
高「愛してるって事」
伊「だっだっだめー！恋人は山ちゃんだけだから！恋人はひとりしかだめだから！」
俺からの愛の告白に慌てた慧くんが俺の腕の中から抜け出そうと、もがきだした。
高「恋人の愛じゃくて、友達とか親友とかの愛だから」
伊「・・・本当に？」
高「うん。愛はいっぱい種類があるんだよ」
伊「う”ー難しい」
さて、そろそろ慧くんを帰さないと。
慧くんを愛してやまないふたりが、気が気じゃなく家で、待ってるだろうから。
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作者名：昨日 | 作成日時：2024年3月14日 16時
