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yb side
恋と愛の違いってなんだと思う?
なーんて大人みたいな事を慧が聞いてきた。しかもいっちょ前に憂いを帯びた顔してやがる。
涼介の家に泊まったお前を迎えに来てやった俺に聞くなよ。
と思ったけど。
薮「回転寿司とカウンターに座って大将が握る寿司の違いはなんだと思う?」
伊「・・・大将が握るお寿司屋さんは高い。あと、大きい声を出したらだめ。あとは・・・デザートのプリンがない」
薮「慧はどっちが好き?」
伊「回転寿司に決まってる。裕翔に連れて行ってもらうのが、嬉しい・・・」
まあ、そうゆう事だ。
なんて言っても分からないだろうな。
いぶかしげな顔して、こっちを見つめてる慧には。
薮「どっちも同じ寿司だろ。あとは好みの問題だ。恋と愛もどっちも同じ。どっちもうまいからそれでいーじゃん」
真面目な話をすれば、語れるけど。
今の慧にはまだ難しい。
カウンターで食べるシメサバや炙りのうまさに気が付くには、まだまだ時間がかかる。
まずは酒が呑めるようにならないと。だぞ。
伊「・・・よく分かんないけど、まあ、いっかぁ」
薮「そうそう。まあ、いっかぁだ」
伊「ふははははっまあ、いっかぁ」
笑いながら窓の外に視線をうつした慧の横顔は、ちょっと大人びて見えた。
真面目な話をすれば。
俺と慧。俺と光の間にあるのは愛だ。
慧を真ん中にして、愛がある。
慧が恋をしてるのは涼介だけ。
涼介は慧から、恋も愛ももらえて、ずるい。
けど、涼介と慧の間にある恋と愛は、もしかしたら消えてしまうかもしれないけど、俺たちにある愛は一生消えない自信がある。
それは涼介からしたら、ずるいのかもしれない。
薮「慧、回転寿司、食べて行くか?」
伊「んー光のご飯が食べたい」
薮「ふはっ、そう言うだろうから、光がお昼ごはんを作って冷蔵庫に入れてくれてるぞ。仕事に行く前に作ってくれたんだぞ」
伊「やったぁ!早く帰ろう!」
嬉しそうに笑う慧が可愛くて仕方がない。
今日は朝早くからの仕事だったのに、早起きして俺と慧の昼ごはんを作ってた光。「もし、外で食べて来るなら夜ごはんに使うから」って言って仕事に出掛けた光。
母ちゃんみたいな光に、きゅんと来たんだからな。
「早く!早く帰ろ!」って言ってウキウキして、回転寿司より光のご飯を食べたい慧にも、きゅんと来た。
俺たちの間には愛と、きゅんもある。
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作者名:昨日 | 作成日時:2024年3月14日 16時