成長痛を知らない君6(ymin) (ページ23)

今日:59 hit、昨日:203 hit、合計:28,665 hit

☆ ページ23

ar side

「なんで！なんでなんで！！」

慧がご立腹だ。

しかし、これは山田が悪い気がする。

仕事でひとり、遅れてやって来た山田を慧が熱烈に出迎えたまでは良かった。

みんなでサウナや露天風呂に入ろうってなったら・・・

伊「なんで水着なの？温泉に入るのに、なんで？」
山「お願いだから。ね？水着を着てタオルを巻いたら、みんなと変わらないでしょ」
伊「なんで俺だけ水着なの？なんで、やだやだ」

山田が慧ちゃんに水着を着て欲しいらしく、持って来たのを手に持ってる。

着る着ないでずっともめてる。
もうみんな、成り行きを見守るしかない。

山田の気持ちも分かる。恋人の裸を見せたくないんだろう山田の気持ち。

だけど今まで、さんざん見てきた裸だし、山田がそんな事を言い出したら、逆に意識しちゃうっての。

山「慧ちゃんお願い」
伊「・・・やだぁ・・俺だけぇ」
薮「涼介・・・」

こんな時に頼りになる薮ちゃんが山田をなだめようとしたけど、かたくなに山田は折れない。

薮ちゃんが山田に「気にしすぎだから」って言ったり、慧に「水着、かっこいいぞ」なんて言ってみてるけど、ふたりともうなずかない。

だいたい、先に相談してくれたら、もっとすんなり事は進んだと思うんだけど。

こんな時は俺だろと思い、暗い雰囲気になってるから明るい声をあげる。

有「みんなで水着、着よう。俺、買いに行って来るから。みんなが着るんなら、いーだろ？慧」
伊「・・・ぅん」

ほら。
最初から俺に相談したらいいんだっての。

慧は“みんなと一緒”が嬉しくって、“みんなと違う”のが嫌なんだから。

山田の頭をぐりぐり撫でたら、知念が「僕も行く」って言ってくれたから、ふたりで水着を調達しに行く事になった。

財布とスマホを持って部屋から出ようとしたら、山田が追いかけて来た。

山「ごめん」
知「まったくだよ。ヤキモチ妬きにも程があるから。メンバーに対して、過剰でしょ」
有「まぁ、でもメンバーだから山田が素直にヤキモチを口に出せるんじゃない？」
山「・・・メンバーだから嫌なんじゃなくて、メンバーだからわがまま言いたいんだ。ごめんな」

山田のわがままは、俺たち限定だと思えば可愛くなる。

有「俺たちが帰って来るまでに、慧の機嫌を取っておけよな」
知「おけよな」
山「はい」

ぺこりと頭をさげた素直な山田が可愛いぞ。