☆ ページ3
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もう、この話しはおしまいにしたい。ふ
恋と愛の違いなんか知らなくてもいい。
お皿に戻した食べかけのイチゴのチョコが、ころんと崩れ落ちる。見えたイチゴの断面がきれい。
悲しそうな顔してる山ちゃんが視界に入って、かわいそうになったから、頭を撫でてあげる。
どうしようもない事だって分かってる。山ちゃんに俺じゃない恋人がいた事も、俺が知らない友達がいっぱいいる事も。
伊「俺、涼介が好きだよ」
山「俺も慧が好きだよ」
伊「うん。ずっと先、結婚するんだもんね。俺たち」
山「そうだね。約束だもんね」
いつか、ずっとずっと未来に結婚する約束。
その時も薮と光、三人で暮らしてて、大ちゃんと高木が隣の部屋に住んでて、知念と裕翔が時々、遊びに来てくれてるだけでいい。友達は6人いたら、すっごいよ。
小さい頃は、友達なんかひとりもいなかったんだから、友達が6人もいて、恋人までいる。すっごい。
伊「わがまま、我慢する。愛されたいから」
山「愛してるから、わがまま言ってよ」
伊「・・・うん。ずっと先に、わがまま言えるように頑張る。結婚したら、いっぱいわがまま言うからね」
山「今、言ってよ」
山ちゃんが抱き締めてくれた。
ぎゅって抱き締めてくれた。
伊「忘れてた。涼介はお仕事、いっぱいしてるから忙しいって。休みの時には俺ばっかりが涼介を独占したらだめだよね。だから、涼介が会おうって言ったら会うんだ」
山「・・・」
伊「・・でも、寂しい。そんなの寂しいけど、頑張るんだ」
本当は毎日、会いたい。
毎日、抱き締めて欲しい。
だけどそれは、わがままだから。だから、我慢するって決めた。
なのに、涙がこぼれてしまう。
なんで涙がこぼれるんだろう。
抱き締めてくれてた腕の力をゆるめたから見えた山ちゃんの顔は、俺と一緒で涙がこぼれてる。
山ちゃんが泣いてるのはなんで?
伊「泣かないで」
山「慧も泣かないでよ」
俺の頬に触れた山ちゃんの指。その薬指には俺があげたビーズのリングがしてある。
キラキラひかるビーズ。
青と赤のビーズがきれい。
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作者名:昨日 | 作成日時:2024年3月14日 16時