ホワイトデー ページ1
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明日は薮が山ちゃんの家に迎えに来てくれる事になった。
もう自分からは、行きたいって言わないって決めた山ちゃんの家に来れたのが嬉しくって、山ちゃんからもらったカードキーを使ったら、山ちゃんが「ありがと」って言った。
玄関のドアが閉まったら、抱き締めてキスしてくれた。
靴を脱いで手をつないで一緒にリビングに入る。
一緒にソファーに座って、またキスをしてくれた山ちゃんが立ち上がってキッチンに向かった。
冷蔵庫を開けて、何かを持って戻って来た。
ローテーブルに置いたお皿には、イチゴに白いチョコがコーティングしてあるのがいっぱい。
それを見つめてたら、2つのマグカップに温かい紅茶を入れて、それもローテーブルに置くと俺の隣に座った。
伊「涼介が作ったの？可愛いね」
山「うん。ホワイトデーだから」
伊「あっ！ホワイトデーだぁ！」
すっかり忘れていた。
ドラマの撮影で、毎日、緊張してたから、すっかり忘れてた。
“ドラマの撮影で”なんて言い訳がメンバーの誰かみたいで、そんな事を思っちゃう自分がおかしくて、笑ってしまう。
山「バレンタインの宿題、覚える？」
伊「・・・宿題？」
山「そう。恋と愛の違い」
伊「うっうん」
山ちゃんがマグカップを持って紅茶を飲んだから、俺もマグカップを持って口をつける。
シンプルな紅茶でホワイトチョコのイチゴを食べたあとに飲んだら、ちょうど良さそうな予感がする。
ちらりと山ちゃんを見たら、真剣な顔してるから、山ちゃんが話を始めるのを黙って待つ事にする。
山「いっぱい考えたんだけど、恋はひとりでもできるけど、愛はひとりじゃできないモノ。かなぁ」
伊「・・・」
山「恋は一方通行でもできるけど、恋人同士だとお互いに思い合ってないと愛せない。俺は慧を愛してるよ。慧に愛して欲しいし、愛してもらってると思ってる」
伊「・・・」
山ちゃんがいっぱい話すから、頭がついていかない。
でも、なんとなく分かって来る。
ふたりじゃないと。
山ちゃんとふたりじゃないと意味がない。
山「だから、慧の気持ちを言って欲しい。嬉しい事も悲しい事も両方。全部を言い合えても愛し合いたいし、愛し合えるよ」
伊「・・・」
山「じゃあ、俺から言う」
山ちゃんが俺の手を握って、話をはじめた。
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作者名：昨日 | 作成日時：2024年3月14日 16時
