成長痛を知らない君5(ymin) (ページ10)

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☆ ページ10

in side

ソファーに並んで座って、相談をはじめる。

ドラマなんか絶対にやりたくないんだけど、マネージャーがしつこくて困ってる。あんまりにもしつこいから、どうしてもやらないといけない仕事なのかな。とか、断り続けてるとマネージャーに悪いなあって思うようになって来た事。

うまく話がまとまらなくて、あっちこっちに話が行っちゃったけど、最後まで黙って話を聞いてくれた山ちゃんが口を開いた。

山「慧はどうしたいの？」
伊「んー、最初は絶対に嫌だし、今も嫌だ。けど・・・」
山「けど？」
伊「マネージャーさんから、ドラマの前のシリーズのDVDをもらって見たら、みんなでお茶を飲んでお菓子を食べてお話ししてるシーンがあって、そこなら出来るかもって・・・」
山「凄いじゃん！」

山ちゃんが俺を抱き締めて、頭を撫でてくれた。

嫌だってぐずってる俺が凄いの？

よく分からなくて、黙っていたら抱き締めてた腕を離した山ちゃんが、俺の頭を撫でながら言った。

山「DVD見たんでしょ。偉いよ。前の慧だったら嫌々って泣いてるだけだったのに。マネージャーの話を聞いて、DVD見て、考えたんでしょ。偉い！」
伊「ふへへっ偉い？」
山「偉い偉い」

言われて気が付いた。
確かに、今までなら「嫌だ！」で、押し通してた。

しつこいマネージャーに折れた部分もあるけと、DVDを見てみようなんて、俺、偉いかも！

・・・

リビングに置きっぱなしにしてたのを光が「俺が見たいから」って流してて、目に入るから、しょうがなく見てみたら面白かったんだけど。

それは言わないでおこう。
光に心の中で謝る。

伊「男なのにスカート履いてる家政夫さんがいてさあ、それが事務所の先輩だったんだ。あんな人、初めて見た」
山「ふははっ。松岡くん、時々、歌番組で会ってるよ」
伊「そうなの！？普段もスカート履いてる？」
山「あれはドラマの役だからね。普段は、男気あふれるオラオラかなぁ」
伊「オラオラ・・・怖いぃ」

松岡くんって言うのか。
無表情で「ふんっ」って言うのが怖いし、スカート履いてるのが不思議だったんだけど。

山「普段は優しいよ」
伊「・・・」
山「いつもカウコンでお年玉くれる先輩だよ」
伊「！」

それは優しい先輩だ！
どの人だろう。いつも、みんなの背中に隠れて顔を見ないてお年玉を受け取って、お礼を言うから。

俺、失礼なやつだ。