☆ ページ44
yb side
慧が悩んでる。
ソファーにあぐらをかいて、腕を組んで、うーんうーん唸り続けてる。
ローテーブルにはスマホが置いてある。
今までの慧なら、即効断るのに悩みまくってるのは、ひとりでの雑誌の取材。
マネージャーが付き添うし、松岡くんもいるって言われて、悩みまくってる。
薮「け」
八「んっ!んんっ!」
慧に話しかけようとしたら、光が咳払いして、“しー”って、人差し指を立てて“黙れ”ってやってるから、口を閉じてキッチンで夕飯の準備をしてる光のそばに行く。
八「今、考えてるんだから、邪魔しないんだよ」
薮「俺、付き添ってやるぞって言いたい」
八「邪魔しない!」
ぎろりとにらまれて、おとなしく黙る事にして、ダイニングテーブルで、悩んでる慧を酒のつまみにしてビールを飲む事にした。
ひとりで行くのが嫌なら付き添うし、嫌なら断ったって良いんだからなって思いながら、心の中で“がんばれ、がんばれ慧”って応募する。
しばらく悩んでた慧が目を開いた。
がばっと立ち上がると、こっちに歩いて来た。
伊「雑誌の取材、やる。けど、心配だから一緒に来て欲しい」
薮「凄いな慧!取材、受けるんだ!偉い!」
伊「んっ、松岡くんいるし。頑張る」
なんだか、泣けて来る。
ドラマに、雑誌の取材。
いっぱい考えて、助けて欲しい事も言えた。ぐんぐん成長してるのが見えて、泣けて来る。
やるって決めた慧は、俺の隣に座ると「また、お酒呑んでる!」って、膨れっ面になって言って来た。
もっともっと大人になったら、いつか一緒にお酒が呑めたら、嬉しいような、そんな日は来て欲しくないような複雑な気分だ。
八「スケジュール的に付き添いは薮か・・・あっ、山田も」
薮「俺が行く!」
伊「薮にして!」
俺か涼介だったら、涼介が良いって言うかと思った慧が、俺の名前を言って、うつむいてしまった。
伊「山ちゃんはお休みの日は友達と約束があるかもしれないから薮、一緒に来て」
薮「おっ、おう。行く」
伊「ありがとう」
俺には友達がいないみたいな言い方が引っ掛かったけど、悲しそうな慧の顔を見たら、何も言えないまま、ビールを飲むしかなかった。
何かがあって、何か思う所があるんだろう。
それは微妙な顔してる光を見れば分かる。
涼介とのあーだこーだを俺には言って来ないのは、気遣いなんだろうけど。
慧に悲しい顔をさせるのは許せん!
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作者名:昨日 | 作成日時:2024年1月20日 9時