成長痛を知らない君5(ymin) (ページ43)

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☆ ページ43

cn side

慧ちゃん、普通に俳優できてる。

付き添いで来たけど、僕、いらないくらい楽しそう。

お昼休憩になって楽屋に帰ってスマホを見たら、グループのメッセージがいっぱい。

『大丈夫？』
『泣いてないか？』
『知念、慧ちゃんを頼んだぞ』

って、みんなして過保護なんだから。
返事をするのが面倒だから、スマホを放り投げて、慧ちゃんとご飯を食べる事にする。

慧ちゃんのお昼は、涼介が作ったお弁当。
わざわざ、僕が朝イチで涼介の家に寄って取って来たお弁当。

伊「わぁ！美味しそうー！知念、食べよ！」
知「僕も食べて良いの？」
伊「良いに決まってる！」
知「涼介の愛情弁当でしょ」
伊「ふへへっ。愛情いっぱーい」

嬉しそうな慧ちゃんの隣に座って、のぞいたお弁当には、厚焼き玉子にウィンナーに焼き魚にからあげに。

ふたつめのお弁当には、おにぎりにサンドイッチ、パスタまで入ってる。

すっごい愛情。
愛情も感じるんだけど“俺の慧だからな”感がもれまくってる気がする。

その牽制は僕に？誰に？って思うけど、目をキラキラさせて、よだれがたれそうな慧ちゃんには、まったく意図は伝わってない。

慧ちゃんが誘ってくれたから、一緒に食べる事にする。

知「ドラマが終わったらサウナと露天風呂、楽しみ」
伊「うん。知念の筋肉もりもりな背中、ゴシゴシしてあげるからね。はい、サンドイッチ、あーん」
知「ふはっ、あーん」

慧ちゃんが食べさせてくれたハムとチーズのサンドイッチ。
悔しいけど美味しい。

知「料理が上手な恋人で、うらやましいなぁ」
伊「・・・友達が少ない恋人がいいなぁ」
知「ふふっ」
伊「俺、ゲームしないし、山ちゃんとは友達になれない」

おにぎりをもふもふ食べながら、難しい事を言い出した慧ちゃん。涼介と慧ちゃんは友達じゃない。恋人。でしょ？

ちょっと前に慧ちゃんが会いたいって言って来たのに、友達との約束が先だったから断ったら、慧ちゃんが泣いちゃったって、涼介から相談された。

僕なら友達よりも慧ちゃんを取るけどって、即答したら、しゅんとしちゃってたな涼介。

2個目のおにぎりをもふもふ食べながら、悲しい顔して慧ちゃんが言った。

伊「あんまり、わがまま言わないように頑張るんだ」
知「・・・」
伊「断られたら悲しいから、だから、俺からは会いたいって言わない事に決めたんだ」
知「・・・ばかだなぁ」

ばかだなぁ涼介は。
こんなに可愛くて健気な恋人をひとりにしておくなんて。