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ar side
久しぶりに聞いた。
「大ちゃん、あーそーぼ」
チャイムがなってカメラを確認したら、慧のドアップな顔があって笑ってしまう。
ドアを開けたら、高木の部屋のチャイムを押してて、カメラに向かって「高木、あーそーぼ」って言ってるから、ますます笑ってしまう。
有「おはよー」
伊「あっ!大ちゃん!あーそーぼ!」
有「高木は今日は朝から仕事で、もういないよ」
伊「ちぇー」
グループのスケジュールは共有されてるんだけど、自分のスケジュールすら確認しないんだから、メンバーのスケジュールなんか知るよしもないんだろうな。この子は。
だいたいチャイムを押して「あーそーぼ」って昭和の子どもみたいな事をやっちゃう可愛い33歳は、この世界に慧だけだ。
有「夕方から仕事だから、夕方まで遊ぶ?」
伊「光とドライブ行くんだけど」
有「どこに行くの?」
伊「んー、分かんないけど、午後は家で昼寝するから遠くは行かないと思うよ」
有「じゃあ、一緒にドライブ行こうかな」
伊「やったぁ!」
出かける準備をしてから慧の部屋に行く約束をして、いったん別れて、部屋に戻る。
そんで、ちょっとのいたずら心であいつにメッセージを送る。
『これから慧ちゃんとドライブ行くー』
すぐに既読になったけど、反応がない。
昨日、電話して来て散々、ぐちを聞いてやったあいつはまだ、へこんでるらしい。
あいつをへこませた張本人の慧は一晩寝たら、気持ちが切り替わったみたいで気分はドライブになって、ウキウキだってのに。
まあ、慧の気持ちも山田の気持ちも分かる。
慧の友達はメンバーだけだし、メンバーの山田が恋人だし、自分が仲間外れにされるのに人一倍敏感だからなぁ。
今さら、慧に新しい友達なんかできないだろうし。
難しいなー
伊「大ちゃーん、行くよー!」
有「はーい!」
部屋の前で叫ぶなよと思うけど、このフロアには俺たちしか住んでないから、まあ、いっか。
ドアを開けたら、にこにこしてる慧と光くんが立ってた。
光くんに巻かれたんだろうマフラーで首回りがもふもふしてて、暖かいんだろうほっぺが少し赤い。
伊「サウナ行こー!」
八「サウナはだめだから!」
伊「もぉーなんでぇ」
八「サウナは危険だ」
伊「何が危険なんだよー」
きゃっきゃと楽しそうな慧。
サウナは危険だ。
慧の裸を他のやつらに見せたくない。もんな。
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作者名:昨日 | 作成日時:2024年1月20日 9時