バレンタイン ページ22
hk said
今日は朝から慧とキッチンにこもってる。
甘いチョコの匂いに誘われて、そわそわ動いてる薮には目もくれず、慧はチョコレート作りに没頭してる。
「恋人にチョコあげたい！」って相談されて、一緒に作ってあげる事になったけど、普段は食べる専門の慧の手元は常にあぶなっかしい。
いちごのへたを取るのは、手で取らせて、チョコを溶かすのだって、チョコを混ぜる慧の両手にはミトンがはまってる。
真剣な顔してるけど、開いちゃう口が可愛い。
いちごをチョコでフォンデュして、乾かして、チョコが乾いたら、ラッピングして。の繰り返し。
3回に1回は、いちごチョコが慧の口に入るから、なかなか作業が進まない。
八「食べすぎだから」
伊「キレイに出来なかったのを食べてるの」
八「失敗作は薮と俺にちょうだい」
伊「・・・失敗したやつだよ？」
慧が作ったいちごチョコなら、失敗なんてないに決まってる。
薮だって「コーヒーの準備しよ」なんて、はりきってる。
伊「山ちゃん、喜んでくれるかなぁ」
八「ふふっ楽しみだね。明日」
伊「うん」
明日は一緒の仕事じゃないけど、会う約束を慧からしたらしい。きっと山田はチョコもらえるって分かってるだろう。
だって、明日は2月14日。
バレンタインなんだから。
慧は山田と会って来るって言ってたけど、そのまま山田の家にお泊まりかもな。
恋人になって最初のバレンタインなんだから、甘い夜になるに決まってる。
そこまでの妄想には至らない薮は、いちごチョコを慧からもらって、嬉しそうに食べてる。
甘いのは苦手なのに、慧が作ったのなら「うまい！うまい！」って言いながら食べるんだから、薮が甘い。
薮「慧はお菓子作りの天才だな」
伊「ふへへへっ」
薮「うまいなー」
伊「もっとあげるからな」
ふたりして、甘い甘い。
そんで、俺は慧の手伝いをしてて、両手がふさがってるから、慧がいちごチョコを口に入れてくれる。
慧が作って食べさせてくれるいちごチョコは、甘くて美味しい。
八「いちごがちょっとすっぱいのがいいね」
伊「うん！美味しい！流石、光！」
八「慧が上手なんだよ」
伊「ふへへへっやったぁ」
薮が俺にヤキモチ妬いて、じとーって目で見てるのは見ないふり。だ。
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作者名：昨日 | 作成日時：2024年1月20日 9時
