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ほっといて! ページ20

hk side

夫婦や恋人は行動が似てくるって言うけど、それはまだ早いんじゃない?

って、慧を見ながら、そっと笑ってしまう。

今日の慧は朝から静かで、話しかけても「うん」とか「知らない」ばっかり。

怒ってるとか落ち込んでる感じじゃなくって、“ほっといて”って感じ。

感じに見えるんだけど・・・

薮「慧!チョコ食うか?」
伊「・・・いらない」
薮「慧!ドライブ行くか?マンガ買ってやろうか?」
伊「・・・」
薮「けーい!お菓子、買ってやろうな!」

なんせ、ほっといてはもらえない。
構いたくてしょうがない男が、ひたすら絡みまくってる。

つーんとしてソファーに座ってる慧だけど、薮はそんな慧をうしろから抱っこして、にやにやにやにやしてる。

薮「けーい!けい!慧ちゃん」
伊「もう!うるさい!ほっといて!」
薮「・・・ぶははははっかーわいーなぁ」

とうとうキレた慧をますます、抱き締めて、でろんでろんな薮。

そりゃ可愛い。
にこにこしてるのも、もちろん可愛いんだけど、ツンツンしたりぷりぷりしてるのも、可愛いんだよな。

でろんでろんになる気持ちは、分かるぞ薮。

なんで“ほっといてタイム”なのかは知らないけど、まだまだ山田にはなれない慧は、諦めたみたいに大きくため息をついた。

八「なんで、ほっといて欲しいの?」
伊「・・・内緒!」
薮「ほっとける訳がないだろ!こんなに可愛いのに!」
伊「はいはい。薮、ドライブ行ってチョコとマンガ買って!」
薮「はいはい」

慧とのドライブデートをゲットした薮がやっと、慧を抱き締めてた腕を緩めた。

ドライブに出かける準備をしに自分の部屋に慧が入ったら、薮がしんみりした口調で言った。

薮「・・・反抗期かなぁ」
八「・・・」

反抗期。

その発想はなかった。
まさかの超遅れて来た反抗期!?

って、山田は今だに反抗期って事か!?

なんて思っていたら、思い悩みはじめた男が、ぶつぶつ言い始めた。

薮「そのうち、一緒に風呂に入ってくれなくなるんだ」
八「・・・」
薮「一緒のベッドで寝てくれなくなるんだ」
八「・・・」

しゅんとしてるけど、薮。

お前は慧の父親ではない。お前と慧は、同じ年だろ。

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作者名:昨日 | 作成日時:2024年1月20日 9時

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