ほっといて ページ16
cn side
これはまずい。
楽屋に入ったら空気が重い。
僕たちのグループは仲良しだし、空気が読めるみんないい子だ。
「おはよ」って小さい声で挨拶して、すでにソファーに座って、存在を消してるゆうてぃの隣に座る。
30歳になっても変わらない。
時々ある涼介の“ほっといて”タイム。
テーブルに片ひじついてスマホを触ってるけど、近寄るな話しかけるなオーラが凄い。
心の中でため息をついて、お望み通り、ほっといてあげる。
ほっといてタイムですめばいいけど、ほっといてディだと、面倒くさいなぁなんで、思って僕も存在を消す。
まじで、僕たちは“いい子”だ。
「おはよー！」
ドアがガチャリと開いて、今日も元気で可愛い慧ちゃんが入って来た。慧ちゃんのうしろからは、当たり前にやぶひかが入って来る。今日は雄也と大貴も一緒。
ピリピリしてた空気がいっきに和んで、ほっとする。
伊「今日は遅刻しなかった！大ちゃんも一緒だったのに」
有「おいっ！」
八「迎えの車に来たのはギリギリアウトだったけど」
伊「アウトアウト！」
有「結果、間に合ったんだから、いーだろ！」
ぎゃーぎゃーと相変わらず、中学生みたいな会話をしてるお兄さんチーム。ソファーにまとまって座ったあたりで、気が付いたらしい。
突然、口をつぐんでスマホを見始めた。慧ちゃんですら、あって顔した。
伊「山ちゃん、ご機嫌ななめだね」
有「しっ！」
大貴に小声で言ったみたいだけど、ちょっと離れた所にいる僕にも聞こえて来たから、涼介にも聞こえたはずだけど、無反応だ。
大好きな慧ちゃんに声も掛けないなんで、最低なやつだ。
しゅんってしちゃった慧ちゃんは、ソファーに座って、目を閉じた。すぐに頭がぐらぐら動き出す。
「可愛いね」
隣に座ってるゆうてぃが小声で言って来た。
僕は、うなずいてスマホで動画を撮りはじめる。その画面を見ながら、慧ちゃんを観察する。
口がちょっと開いて、首がかくんかくんしてる。
もうちょっとで、大貴の肩に頭が乗っかりそう。大貴も慧ちゃんを気にして、チラチラ見てる。
「んー」
慧ちゃんが唸って、首がかくんと落ちて、大貴の肩に無事、乗っかった。
大貴ってば、まったくしょーがねーなって顔してるけど、嬉しいのがあふれまくってるから！
そんなんだから、コロす勢いで、涼介が見てるって気が付かないんだよ。大貴のばーか。
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作者名：昨日 | 作成日時：2024年1月20日 9時
