1月→2月 ページ12
hk said
「最初の34歳おめでとー!」
毎年、1歳づつ増えて行く恒例の掛け声で、ジュースで乾杯。
グループの最年長だから、“最初”で間違いない。
そんな最年長は、隣に慧を座らせて、でれでれしてる。
しかし、34歳かぁ。
ずいぶん長く一緒にいるもんだし、これから先も一緒なんだろうと、諦めて料理をみんなに取り分ける。
みんなしてジュースを飲みながら、あーだこーだと盛り上がってると、慧が手をあげて立ち上がって言った。
伊「俺、ドラマに出る!」
慧の爆弾発言に、それまでうるさかったのが一気にシーンとなる。どや顔な慧をにこにこで見つめる山田が目に入った。
決めたんだ慧。
やるって。
マネージャーから聞いてた「慧くんにドラマの話が来てて、初めてのドラマにはもって来いな内容なので押したい」って。
俺と薮は慧がやりたいなら、やらせてやりたいけど、慧の説得はしないってマネージャーに言った。
最近、その話しはしなくなったと思ってたんだけど、山田としたんだ。その話し。
有「まじかよー!」
伊「うん。まじ」
知「すごーい!」
伊「うん。凄い」
中「どんなドラマ?」
伊「ミタゾノさん」
みんなして、へえーって言った。
そんですぐに心配顔になった。
そりゃ心配だ。
伊「俺、頑張る。頑張るけど・・・」
山「はい!」
山田が手をあげて立ち上がった。
山「俺、慧ちゃんがドラマやってる間、慧ちゃんのマネージャーするから。事務所公認だから」
伊「・・・だから」
真っ赤な顔した慧が、もじもじ指をいじり出して、不機嫌を全面に出してる薮をチラチラ見てる。
知「なんかズルい。僕もマネージャーしたい」
中「俺も!」
高「俺も俺も」
有「もちろん俺も」
薮「俺がする!」
ぶははははって大爆笑した山田が「ほらね」って言って、椅子に座った。
山「誰も迷惑だなんて思ってないでしょ」
伊「・・・うん」
山「これはマネージャーをかけた戦いに発展するよ」
よく話が見えないでいたら、慧が口を開いた。
伊「ドラマ、やってみたいけどひとりは怖いから、ついて来て欲しいんだ」
慧がちゃんと言った。自分の気持ちをしっかり言った。
ずずー
静かな空間に、鼻をすする音が響く。
その音の元は、もちろん薮。
と思って見たら、薮は当たり前に泣いてるし、高木まで泣いてる。で、大ちゃんまで!
って、くっそおー!
俺がいちばん泣いてるっての!
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作者名:昨日 | 作成日時:2024年1月20日 9時