Toothbrush|4 ページ5
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『__な、なななななんっはぁ!!?』
ズザザザと器用に後退りを決める私。色んな物をはねのけるがこの際どうだって良い
『なん、で...』
何度目を擦っても、頭を振っても、そこに存在してる事は嫌にもはっきり見えてしまうもので
『そんな事って』
「有り得ちゃったんだよ」
被せてきた彼は何処か得意気。卒倒しそう
この訳分からない状況を難なく呑み込める順応性など持ち合わせていない
『何なの...生きてたのならそう言いなさいよ!!私のあの時の涙は一体、』
「いや、死んでる」
『は、ぇ?』
途端に彼が手近にあったリモコンを掴んだ
「俺、今何してると思う?」
『何って、リモコン持ち上げてるだけでしょ』
私の返答を聞いた松田は嬉しそうに口角を上げた。解せぬ
「“お前にはそう見える”だろうな」
けど、と言葉を紡いだ彼はリモコンを宙に放った
「お前以外には浮いてる様にしか見えない...つまるところ、だ。
__俺の姿はAにしか見えてねーんだ」
『っはあぁ!!?』
なんたる迷惑。ふざけるな。そもそも霊的なものなんて信じて無い
『幽霊なんて概念でしょ!?悪夢なら覚めてよ!!』
「おーおー、言うねぇ。相変わらずで安心だ」
『うっさい。概念は黙って』
「勝手に概念にすんなよ」
今更ではあるが何普通に会話交わしてるのだと我に変える
おかしい。絶対に、有り得ない。馬鹿じゃないの、疲れてるのよきっと。
頭冷やそうと踵を返し洗面台にドタドタ向かう
「おい何処行くんだよ」
『ついて来ないで』
だが電気を着けたところで絶句した
__ついて来た、私の背後に立つ筈の松田の姿が鏡に映らなくて
『...っ、』
「な?言った通り死んでんだよ」
呆然自失で鏡越しの自分の表情を見ていれば、ふと目にした歯ブラシ立て__
『何よこれ』
ピンクを基調とした私の歯ブラシの隣に、紫と黒の二色で統一された、あからさまに趣味の悪そうな歯ブラシが一本
「あぁそれな、俺の。」
『っ、は?』
ギュィンと首を高速回転し目を見張った
「俺、今日からここで居候するわ」
__な、なんっ
『ふっざけんなぁ!!!』
<死んだ元彼が幽霊となって住み着いた件について審議>
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ふぐひらめ(プロフ) - 自分の目が土偶のように腫れあがってしまいました。松田も西城ちゃんも悪くないんだよなぁ、でも報われねぇんだよなぁ…。もし余裕が出来ましたら、この二人の普通にイチャコラしてる話が読みたいです!生前の、になるのか別世界パロになるのかはお任せします。 (10月9日 11時) (レス) @page50 id: 63e1c883be (このIDを非表示/違反報告)
輪廻(プロフ) - 大変面白く、続きが気になってしまって一日で読破してしまいました…何処を探しても、こんなに泣いて考えさせられた小説はありません…!素晴らしい作品を、本当に有難う御座います! (9月30日 9時) (レス) @page50 id: 6cfce3c49c (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 何度見ても涙が止まらないです。本当に、なんで死んでしまったのでしょうかね (5月7日 14時) (レス) id: 86ac079c04 (このIDを非表示/違反報告)
kaki - こんばんは。何度も何度も読んでも涙が止まらないです、、涙が枯れるかと心配になるほど、出てきます。素敵なお話をありがとうございました。 (5月6日 23時) (レス) id: 9254c6c927 (このIDを非表示/違反報告)
ミートボール(プロフ) - こんばんは。初めて小説を読んで声が出るくらい泣きました。とても読み応えがあって、「何度でも読みたい」と思う物語でした、、!たくさん小説がある中でこの小説に出会えて本当に良かったと思いました。素敵な作品を描いてくださって本当にありがとうございました。 (2023年3月21日 0時) (レス) @page50 id: abe3749231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンドウ | 作成日時:2019年8月12日 2時