Toothbrush|37 ページ38
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美和子と始末書を作成してから1時間
ようやく終える事ができ、警視庁を出たのは日付を跨いだ真夜中
自宅へ到着するとなるべく音を立てないよう差し込んだ鍵に回す鍵穴
何年も住んでいる家なので暗闇でも分かる見取りの中、リビングの扉を開き電気スイッチをONに切り替えた__
「遅かったな。お帰り」
電気も付けず椅子に持たれかかっていたのは。__変わらず松田で
そんな彼の顔を見ながら数秒後にくつくつと笑いを溢した
『くっ...ふふ、』
「あン?何笑ってんだよ」
不審に思う松田と笑いでじわりと滲んだ涙を指で掬う私
『ここまでのやり取りが、アンタが幽霊となって現れた日にあまりにも似てたから...つい』
思い出せば出すほど重なり具合が強く、笑いが止めようにも止められない。やっぱ深夜テンションでおかしいのかな
松田はというと、私につられたのか笑みを浮かべて煙草を吸っている
紫煙をあげる姿に何処か色っぽさを漂わせる松田は視線を投げ掛けてきた
「なぁ、お前って今度の休みいつ?」
『休み?...この間のお墓参りが最後だから__確か今週の日曜日だった筈』
お墓参りで降谷と会ってから2週間経ったのだ。時の流れは案外早い
『でも何で?』
彼がそう聞いてくる真意を知りたくて今度はこちらから質問で返した
「じゃあその日、Aの時間を俺にくれないか?」
『え?』
「__二人で何処か出掛けないか」
**
__という事があってから当日の日曜日
あの時返事を即OKで返した。迷いは無かった
夜明けを呑み込む侵食の太陽
結露の路上にタイヤの跡
鳩の一斉の飛び交い
日本の冬は寒くも美しい
羽織ったコートの襟に首をすぼめて、彼が佇む時計台に集合した
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ふぐひらめ(プロフ) - 自分の目が土偶のように腫れあがってしまいました。松田も西城ちゃんも悪くないんだよなぁ、でも報われねぇんだよなぁ…。もし余裕が出来ましたら、この二人の普通にイチャコラしてる話が読みたいです!生前の、になるのか別世界パロになるのかはお任せします。 (10月9日 11時) (レス) @page50 id: 63e1c883be (このIDを非表示/違反報告)
輪廻(プロフ) - 大変面白く、続きが気になってしまって一日で読破してしまいました…何処を探しても、こんなに泣いて考えさせられた小説はありません…!素晴らしい作品を、本当に有難う御座います! (9月30日 9時) (レス) @page50 id: 6cfce3c49c (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 何度見ても涙が止まらないです。本当に、なんで死んでしまったのでしょうかね (5月7日 14時) (レス) id: 86ac079c04 (このIDを非表示/違反報告)
kaki - こんばんは。何度も何度も読んでも涙が止まらないです、、涙が枯れるかと心配になるほど、出てきます。素敵なお話をありがとうございました。 (5月6日 23時) (レス) id: 9254c6c927 (このIDを非表示/違反報告)
ミートボール(プロフ) - こんばんは。初めて小説を読んで声が出るくらい泣きました。とても読み応えがあって、「何度でも読みたい」と思う物語でした、、!たくさん小説がある中でこの小説に出会えて本当に良かったと思いました。素敵な作品を描いてくださって本当にありがとうございました。 (2023年3月21日 0時) (レス) @page50 id: abe3749231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンドウ | 作成日時:2019年8月12日 2時