Toothbrush|12 ページ13
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『あ、松田』
「おう」
非番が通常の連勤へと成り変わり今しがた帰宅したところだ
ソファに長い足を組んで腰掛ける松田
癪ではあるが無駄に絵になる彼を前にぐっと踏み留まり、隣の空いてるスペースへ体を沈めた
『非番の先輩を現場に狩り出すとは...高木君と美和子覚えておれ』
「そんだけ信頼が厚いって事だろ」
乾いた笑いを小さく上げる松田へ視線を向ける
すると彼もまた私を見ていた
「あ、言い忘れてた」
『何よ』
思わず身構えていれば頭に骨張った手が乗せられる
「__おかえり。A」
ぐらりと揺れた体。一瞬で顔に火がつく
__バカじゃないの!?バカじゃないの!!?
たった一言でいとも簡単に絆されるなんて。プライドなんてガラ崩れだ
「顔真っ赤」
ニヤニヤ笑う松田の頭をはたく
単細胞なんて言わせてなるものか
__それでも、やっぱり。お帰りなんてここ最近言われて無くて
誰かが待っていてくれる事は嬉しい事なんだと改めて再認識した
それでも尚引かない熱を隠す目的でクッションを顔に押し付ける
『あ"ぁーー。松田のせいでご飯作る気無くした。責任取って』
「何で俺のせいだよ」
当たり前だ。あんな笑みで殺し文句言ってきた責任取ってもらうかんな
...とは言ったものの。松田には洗濯物もして貰ってた訳で、それでも自分は今から夕食作る体力残ってない訳で。
じゃあ、と手を打った
『今からご飯食べ行こう。急だからファミレスとかでもいい?』
クッションを側に置いて松田の顔を見上げる
「...お一人様で?」
『お一人様になるかもしれないけど、私が松田の食べたい分も頼めばいいでしょ』
「...適応力たっけぇな」
さっきの意地悪な笑みとは全然違う、ゆるりと笑ったこの表情
「じゃ、お言葉に甘えて準備しますか」
最後にくしゃりと私の頭を撫でてから立ち上がった彼に続いて私もソファから身を離した
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ふぐひらめ(プロフ) - 自分の目が土偶のように腫れあがってしまいました。松田も西城ちゃんも悪くないんだよなぁ、でも報われねぇんだよなぁ…。もし余裕が出来ましたら、この二人の普通にイチャコラしてる話が読みたいです!生前の、になるのか別世界パロになるのかはお任せします。 (10月9日 11時) (レス) @page50 id: 63e1c883be (このIDを非表示/違反報告)
輪廻(プロフ) - 大変面白く、続きが気になってしまって一日で読破してしまいました…何処を探しても、こんなに泣いて考えさせられた小説はありません…!素晴らしい作品を、本当に有難う御座います! (9月30日 9時) (レス) @page50 id: 6cfce3c49c (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 何度見ても涙が止まらないです。本当に、なんで死んでしまったのでしょうかね (2023年5月7日 14時) (レス) id: 86ac079c04 (このIDを非表示/違反報告)
kaki - こんばんは。何度も何度も読んでも涙が止まらないです、、涙が枯れるかと心配になるほど、出てきます。素敵なお話をありがとうございました。 (2023年5月6日 23時) (レス) id: 9254c6c927 (このIDを非表示/違反報告)
ミートボール(プロフ) - こんばんは。初めて小説を読んで声が出るくらい泣きました。とても読み応えがあって、「何度でも読みたい」と思う物語でした、、!たくさん小説がある中でこの小説に出会えて本当に良かったと思いました。素敵な作品を描いてくださって本当にありがとうございました。 (2023年3月21日 0時) (レス) @page50 id: abe3749231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンドウ | 作成日時:2019年8月12日 2時