009 冷たい視線 ページ9
、
どんっ。
廊下ですれちがいざま
ガゼルに肩をぶつけられる。
見た目よりも
がっちりした体格のガゼルだから
私は少しよろけた。
「………」
ガゼルが振り返る。
こちらを見る目は
とても冷たいものだった
それだけじゃない
私もガゼルとは顔を合わせづらい
だって、あの場で
泣いてしまったのだから。
「あの、」
「黙れ。私に話しかけるな」
ガゼルはそう言って歩いていく。
私はうつむいた。
キャプテン、
ガゼルが私のこと嫌ってないなんて
やっぱり嘘だったんだ
「ガゼルも素直じゃないね」
後ろから声が聞こえた。
見なくたってわかる
ヒロトだ。
「………何か用？」
「怖いなあ
そんなに睨まなくてもいいのに
俺たち双子なんだから」
「……っっ」
ヒロトは
私が苛つく言葉を知っている
だからわざと言ってるんだ。
「………どっかいって、ヒロト」
「いい加減、
その“ヒロト”って
やめない？」
ヒロトが突然そんなことを言った。
「俺はグラン。ヒロトじゃない
まあ、Aは
Aのまんまだけどね」
くすっと笑うヒロトが
とても憎たらしい
私には、
新しい名前が与えられなかった
みんなが父さんから
新しい名前をもらう中で
私だけは
『Aには新しい名を与えません』
そう言われたのだ。
「ヒロトって呼んじゃいけないのは
父さんの息子と重なって
辛くなるから？」
言われっぱなしが嫌で
そう言い返すと
ヒロトの目付きが変わった
今まで笑っていたのに
私を見る目が冷たくなった
「言っていいことと
悪いことがあるよね
………A」
そう言って、ヒロトは
私に段々近づいてきた。
やがて、
ガッと首の辺りを
思いきり掴まれる。
そして壁際に追いやられた。
苦しい。
息ができなくて咳こむ。
「うっ……げほっ」
「言っていいことと悪いことの
区別もつかないのかい？
君のその“出来損ない”の脳は」
「ぅ……ぐッッか、はっっ
ヒ、ロト、苦し……ッッ」
「ヒロトじゃない。言っただろう？
俺はグランだ」
「ぐ、ら、グラン………ッッッ
かひゅッッ……！！！ が、ぁ……」
やっと手が離されて
私はその場に座りこむ。
ヒロトが
私を冷たく見下ろした。
「いい子だね、A。
やっぱり、ちゃんと、
兄さんの言うことは聞かないとね」
そういって頭を撫でられた。
………吐き気しか、しなかった。
、
続く (更新停止中)
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遊星(プロフ) - 更新停止になってますが大丈夫ですか？素敵な話なのに更新停止は勿体無いです。早く続き読みたいです。 (2019年12月17日 22時) (
レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
氷雪の騎手 - 展開がすごく気になります！こういうお話好きです。更新頑張ってください!! (2018年3月14日 19時) (レス) id: 685ae2c80c (このIDを非表示/違反報告)
ヒガンバナ - この小説すごい好きです！話の続きが気になります！更新頑張ってください！応援してます！ (2018年1月27日 13時) (レス) id: 685ae2c80c (このIDを非表示/違反報告)
あふ(プロフ) - すごく先の展開が気になります！これからも更新頑張ってください！！ (2017年12月22日 21時) (レス) id: 320959b6af (このIDを非表示/違反報告)
はるはる - 更新頑張って下さい！ (2017年12月22日 12時) (レス) id: 676113aca5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せご | 作成日時：2017年12月16日 23時
