003 妹でなければ ページ3
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兄と私の差は、
昔から大きいものだったと思う。
サッカーの実力は
何倍も兄の方が上だった。
私はそんな兄を追うばかりで
手なんて、届きもしなかった。
特に実力があったのは、兄と
キャプテンの晴矢と、
別チームのキャプテンを務める風介だった。
この三人はいつも
試合をしている時も輝いていた。
ああ、
憎たらしいのは
こっちの方なんだよ。
伸ばしかけた手を下ろして
私なんかがあの世界にいるのは
無理なんだろうって思っていた。
今も昔も、私は。
未熟で、弱くて、
兄や、皆には手が届かないんだ。
「おい！そっちボール行ったぞ！カットしろ！」
そんな声が響いてハッとする。
ぼんやりと空を眺めていた私の前には
いつの間にかボールが迫っていた。
今は、対ダイヤモンドダスト戦。
なんとかボールをキープしたものの
すぐに奪われてしまった。
あぁ、やってしまった。
ごめんなさいと告げて走り出した私の目の前に
ダイヤモンドダストのキャプテンである
風介ーーガゼルが立っていた。
ボールを足元に転がしているガゼル。
何故か無表情で私を見ていて
その冷めた目は、背筋が凍りつく。
と、思った瞬間だった。
「ーーーーっぁ、が………！」
腹に激しい痛みが走り
私は場外まで吹き飛ばされる。
ころころと私の横を転がるボール。
ぼんやりとした意識の中で
静かに目を見開いた。
「悩み事があるのかなんだか知らんが
私情で我々との試合に
手を抜かないでもらいたい。
邪魔だ、不愉快だ、
貴様など相手にもならん」
ーーー冷たいなあ。
昔から、だけど、でも。
なんだか、昔より
傷を負ってしまう。
ごめんね、邪魔な存在で。
ーーー私は。
ヒロトの妹なんかじゃなければ
少しは愛されたのかな。
ぽろり、と伝う涙は
ガゼルに見えてしまったのだろうか。
「ーーーーっは、っ」
はーはーと荒い息をしながら
ぎゅっと胸元の服を握る。
痛む胸も苦しい喉奥も
悲しみでどうでもよかった。
「ごめ、ん、なさ、っ」
だめ。
なのに、涙は溢れるだけだった。
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遊星(プロフ) - 更新停止になってますが大丈夫ですか？素敵な話なのに更新停止は勿体無いです。早く続き読みたいです。 (2019年12月17日 22時) (
レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
氷雪の騎手 - 展開がすごく気になります！こういうお話好きです。更新頑張ってください!! (2018年3月14日 19時) (レス) id: 685ae2c80c (このIDを非表示/違反報告)
ヒガンバナ - この小説すごい好きです！話の続きが気になります！更新頑張ってください！応援してます！ (2018年1月27日 13時) (レス) id: 685ae2c80c (このIDを非表示/違反報告)
あふ(プロフ) - すごく先の展開が気になります！これからも更新頑張ってください！！ (2017年12月22日 21時) (レス) id: 320959b6af (このIDを非表示/違反報告)
はるはる - 更新頑張って下さい！ (2017年12月22日 12時) (レス) id: 676113aca5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せご | 作成日時：2017年12月16日 23時
