ノート1冊につき、塩キャラメル1粒〜夏休み〜【国見英】

夏休み最終日　親友side ページ41

「ということで、付き合うことになりました」

「何で悔しそうなの。何で付き合うまでにアホなやり取りしてんの。何であんなにうじうじしていたのに、脈アリだって分かると振り切れるの？極端すぎない？」

私の親友、AAはどこかおかしい。

今日は夏休み最終日。
互いに部活もバイトもなかったので、パーっと遊ぶことにした。
朝からショッピングを楽しみ、今は休憩がてらカフェでお茶をしている。
互いに夏休みの思い出に花を咲かせ、話題は恋バナへ。
まさか親友がそこまで進展しているとは。
この間、お祭りデートに行った報告をされたけど、そこからまだ数日しか経っていない。
「脈アリかもしれない」と相談を受けて、確かに「速く告白しろ」という旨を送信した。
けれど、昨日の今日で付き合うとは予想外すぎる。

「何でさ、確信がないと行動に移せないのに、脈アリだと分かるとすぐ行動できるの？」

「確信があるから、怖いことなんてないでしょ」

いや、理屈は分かるけど。
あんなにうじうじしてたじゃん。
確信するだけで、スイッチが切り替わったように行動に移せるものなの？
長年の付き合いだが、初めてのパターンで困惑する。

「交際を保留にしたかったなら、何で告白に返事したの？」

「曖昧な返事で誤解されたくなかったから。私の気持ちが英にあることだけは伝えた方がいいと思って」

「いつの間に名前で呼んでいるし」

「付き合っているから、名前で呼ぶくらいするよ」

「振り切れ方がおかしいのよ。……最後に、何で悔しがったの？喜ぶところじゃない？」

「勿論、嬉しいよ。でも、まだ付き合うつもりなかったし。説得されて付き合うことにしたけど、なんか謎の敗北感があって」

「どういうことなの」

「説得された時、英に勝ち誇った顔をされたの。何だか悔しくて」

Aは確かに負けず嫌いだけど、国見くんも大概そうなのね。
国見くんって淡白だと思っていたけど、親友の話を聞く限りでは優しい人なのかもしれない。少なくとも、Aにとっては良い人だ。
安心した。
もしや、Aに対して結構ベタ惚れなのでは？
流石に期待しすぎか。

対面の親友を窺うと、何やら急に神妙な面持ちである。

「私、去年のこと向き合おうと思う」

"過去を清算してから、付き合いたい"。
何ともAらしい主張だ。
辛い思いはしてほしくないけど、やっと向き合う気にもなれたのかな。

「辛くなったら、いつでもおいで！」

腕を広げ、テーブル越しに抱きしめた。

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