○死にたくないけど、死んでもいいわ ページ35
「あ！」
「うわ、何」
驚く国見くんが視界に入った。
いきなり大声を上げてしまってごめん。
もう目の前は我が家だというのに、大変なことに気づいてしまったのだ。
「驚かせてごめん。写真撮ってないことに気づいて」
「ああ、なんだ」
「国見くんは欲しくないの？」
「いや、俺はもうAの写真撮ったから大丈夫」
「は？」
いつの間に。
私が何を食べようかあれこれ悩んでいた隙に、写真も撮っていたのか。
変なところないよね？
今日の私は爪先という細部までこだわったので、大丈夫なはずだけど。
いや、そうじゃない。
人のこと言えないけど、何勝手に撮ってんの。
断りを入れろ、断りを。礼儀でしょうが。
「不安そうな顔したり、急に目つき悪くしたり、大変だね」
「おかげさまで。下駄で殴るぞ」
「すみませんでした」
「倍返しは私の信条じゃないし、写真撮らせてくれるならいいよ。何枚撮った？ついでに映りを確認していい？」
「暴力をちらつかせるの、良くないと思う。てか、取り調べみたいだな」
国見くんが差し出す画面をのぞき込む。
私の写真は全部で5枚あって、どれも映りが良かった。
自分で言うのもおかしなことだが、今日の私って可愛いんだな。
国見くんの写真を撮る技術、凄い。
「見せてくれてありがとう」
「ちゃんと綺麗に撮れてたでしょ？被写体がいいから、どこを撮っても絵になるよね」
「ぐっ……ありがとう。もしかしてなんだけど、私を褒めれば許してくれると思ってる？」
「まあね」
「そっかあ」
実際、私も許してしまうので何も言い返せない。
もういいよ、チョロいと認識されていても。
好きな人に褒められたら、お世辞でも嬉しいし。
こういうのを、惚れた弱みというのだろう。
軽口もほどほどにし、カメラを構える。
祭があったのに、我が家の外灯を頼りに写真を撮るとは情けない。
せめて少しでも風情があるように、三日月を背景に写真を撮らせてもらった。
被写体がいいと、どこで撮っても絵になる。
最後にツーショットを数枚撮って、楽しかった思い出を締めくくることにした。
聞き飽きただろうお礼を述べ、見送りはやんわりと断られた。
名残惜しいが、仕方ない。
「そうだ、A」
「何？」
「"月が綺麗"だから、家の中で見るといいよ」
慈しむような眼で見つめられ、確信してしまった。
「し、"死んでしまいそう"だからそうするね！おやすみ！」
逃げるように家に入り、心臓を押さえる。
え、脈アリなんだ！？
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パリピポ(プロフ) - 瀬がたさん» はい！昼夜逆転しすぎてるので気をつけます(笑) (2020年5月9日 19時) (
レス) id: d2189cc566 (このIDを非表示/違反報告)
瀬がた(プロフ) - パリピポさん» ありがとうございます！夜更かしには気を付けてくださいね！ (2020年5月9日 19時) (レス) id: 55cb208508 (このIDを非表示/違反報告)
パリピポ(プロフ) - 瀬がたさん» ほんとに天才です!!!面白くて夜中にも関わらず一気読みしました!!!!!! (2020年5月9日 13時) (レス) id: d2189cc566 (このIDを非表示/違反報告)
瀬がた(プロフ) - パリピポさん» え！？ありがとうございます！！一期一会ですね！！！ちょっとふざけてますが、そう言っていただけると嬉しいです！！！！！ (2020年5月9日 13時) (レス) id: 55cb208508 (このIDを非表示/違反報告)
パリピポ(プロフ) - たまたま見つけて読んだんですけど最高すぎません？！天才ですか？！楽しくキュンキュン読んでます!!!!!!!!!!!! (2020年5月9日 3時) (レス) id: d2189cc566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬がた | 作成日時：2020年3月24日 21時
