一方そのころ ページ33
一方、4989番と1146番は血管内を急ぎ足で移動していた。
1146番が顔をしかめて言葉を発する。
「証拠を渡しに行ったらすでにキラーTが出動した後だったとは…。4989番、彼女の今日の配達先はわかるか？」
「わかんない！くそっ、こうなるってわかってたら昨日聞いてたところだったのに…！」
「とにかく、奴に見つかる前に保護しないと…。一人にさせたままだと彼女が危ない！」
「でも、この広い体内をしらみつぶしに探してる暇なんて…ん？」
焦るばかりの4989番だったが、視界の端に動くものをとらえた。
それはこちらにどんどん近づいてくる。
それが誰かに気づいた1146番が驚いて声を上げた。
「赤血球！？」
「ああああああ！白血球さああああああん！」
3803番が必死の形相で二人に向かって走ってくる。しかしそれだけではない、どうやら戦場の傍を通ったらしく、後ろからはウイルス感染細胞たちが数体ついてきている。
「ちょっ！？赤血球ちゃんがなんでこんなとこに！？」
「わからん！とにかく助けるぞ！」
混乱しながらも二人同時にナイフを抜き、ウイルス感染細胞たちに突進していった。
――――――――――――
「た…助けてもらって………ゲホッ。あ、ありがとう…ございました…。」
感染細胞の最後の一体を倒し終えると、息も絶え絶えな様子の3803番はその場に座り込んだ。
1146番が心配そうに屈んで視線を合わせる。
「大丈夫か？赤血球。この辺りは感染細胞がうろついてるから危険だと情報が行かなかったのか？」
「それは大丈夫なんですけど…。って、そんな場合じゃないんです！」
慌てた様子で顔を上げた3803番を訝し気に見ていた4989番だったが、続く言葉に心臓が締め上げられるような心地になった。
「Aさんが…！Aさんが知らないキラーT細胞さんに人気のないところに連れ込まれてて！」
「どこ！？どこで見たんだそいつ！」
食い気味に詰め寄る4989番の勢いに圧倒されながらも、3803番は今来た血管の方を指さす。
「私たちの寮のすぐ近くの路地です！」
「っ！」
「あっ、おい4989番！」
礼も言わずに走っていく4989番を引き留めそこなった1146番はため息をついて、3803番に向き直る。
「赤血球、悪いが道案内を頼めるか？近くまで来たら安全なところに行っておいてくれ。」
「わかりました。こっちです！」
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リコピン@とまと(プロフ) - 志保さん» コメントありがとうございます。エピローグで締めた後は、番外集というか短編集みたいなのをできればなあと思ってます。できればそちらの方もよろしくお願いします。 (2018年11月6日 22時) (
レス) id: 6d907760cd (このIDを非表示/違反報告)
志保(プロフ) - 続きますよね？ (2018年11月6日 21時) (レス) id: 512d7a3c2b (このIDを非表示/違反報告)
リコピン@とまと(プロフ) - みかんパフェさん» コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです！お仕置きの時間だぜずっと入れたかったのですが、結局最後の方になりましたｗ (2018年11月6日 20時) (レス) id: 6d907760cd (このIDを非表示/違反報告)
みかんパフェ(プロフ) - こんにちはー！コメント欄失礼します！コメントしたいなーと思いつつ勇気が出ませんでした←すっごく面白いですっっ！！これが文才の差か…と思い知らされる作品でした。4989番のお仕置きの時間だぜが大好きなのでラストに出て来た時は嬉しかったですw (2018年11月6日 19時) (レス) id: e04ebc82bf (このIDを非表示/違反報告)
リコピン@とまと(プロフ) - 空さん» ありがとうございます！物語も佳境ですが、あともう少しあるので最後までお付き合いください！ (2018年11月4日 23時) (レス) id: 6d907760cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リコピン@とまと | 作成日時：2018年10月16日 19時
