水面下 その1 ページ28
好中球の詰め所に戻っていた4989番はため息をつく。
彼女の寮へ帰る道すがらマクロファージと何を話していたのか一応聞いてみたのだが、何度聞いても話してくれることはなかった。
予想はしていたけどまあそうだろうな、とは思っていたのだがやきもきした気持ちが消えたわけではない。
正直、あの好中球のアピールがうざいから護衛役を変えてくれ、なんていう相談だったらどうしよう…とは何度か考えてしまった。
「あー、らしくないぞ俺！できることはやっておくって決めたんだろ！」
頭をガシガシ掻いていると、後ろから声がかけられた。
「よう、4989番。一人百面相で忙しいところ悪いが報告の時間だ。」
振り返ると、2626番が手を振りながら近づいてくる。
その後ろから2048番と1146番も続いているのを見た4989番は帽子をかぶりなおして3人の方を向いた。
「おつー。俺んとこに来るってことは例の件、なんか進展あった感じ？」
その言葉に、2626番はにやりと笑って封筒を差し出した。
「ほれ、お前が欲しがってた証拠だ。」
「ストーカーをストーカーなんてめったにない体験させてもらったぜ…。ま、おかげでいい画が撮れたけどな。」
2048番が続いてにやりと笑い、1146番は相変わらずの真面目な様子で頷いた。
「これだけあれば上も動いてくれるだろう。早く持っていくといい。」
待ちに待っていたものを受け取った4989番は、はちきれんばかりの笑顔になる。
喜びを爆発させたことを表現するために両腕を大きく広げて、一番近くにいた2626番に抱き着いた。
「お前らありがとう！恩に着る！」
「おいやめろ！野郎に抱き着かれても嬉しくねえ！」
慌てる2626番をよそに、1146番が帽子を深くかぶりなおす。
あれはあいつが照れてる時の癖なんだよなー、なんて考えていると、予想した通りのセリフが聞こえてきた。
「礼はいい。仕事をしたまでだ。」
「そうそう、あくまで仕事だからな。報酬のグルコーゲンアイス、期間限定の濃厚イチゴ味さえ忘れてくれなきゃ礼なんていらないさ。」
「うん！特別任務が終わったら絶対買うから！ほんとにありがとう！」
1146番に続いた2048番にも手を振って重ね重ね礼を言う4989番を無理やり引きはがした2626番が肩を掴んで向きを変えさせる。
「ほれ、さっさといけ。ちゃんと解決してAちゃん安心させるんだろ？」
「おう！」
早速走っていった4989番を見送り、3人が安堵のため息をついたその時だった。
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リコピン@とまと(プロフ) - 志保さん» コメントありがとうございます。エピローグで締めた後は、番外集というか短編集みたいなのをできればなあと思ってます。できればそちらの方もよろしくお願いします。 (2018年11月6日 22時) (
レス) id: 6d907760cd (このIDを非表示/違反報告)
志保(プロフ) - 続きますよね？ (2018年11月6日 21時) (レス) id: 512d7a3c2b (このIDを非表示/違反報告)
リコピン@とまと(プロフ) - みかんパフェさん» コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです！お仕置きの時間だぜずっと入れたかったのですが、結局最後の方になりましたｗ (2018年11月6日 20時) (レス) id: 6d907760cd (このIDを非表示/違反報告)
みかんパフェ(プロフ) - こんにちはー！コメント欄失礼します！コメントしたいなーと思いつつ勇気が出ませんでした←すっごく面白いですっっ！！これが文才の差か…と思い知らされる作品でした。4989番のお仕置きの時間だぜが大好きなのでラストに出て来た時は嬉しかったですw (2018年11月6日 19時) (レス) id: e04ebc82bf (このIDを非表示/違反報告)
リコピン@とまと(プロフ) - 空さん» ありがとうございます！物語も佳境ですが、あともう少しあるので最後までお付き合いください！ (2018年11月4日 23時) (レス) id: 6d907760cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リコピン@とまと | 作成日時：2018年10月16日 19時
