ほんならまた、来世でな〔虹〕*

07. ページ7

藤井 side .








これからする予定やった撮影は延期で、

俺たちもすぐ病院に行くことになった。








けど全員で行ってもあれやから、




ちょっと取り乱してもうた濱ちゃんと

淳太、望は楽屋に残って、




俺と照史、神ちゃんがマネの車で病院に。








その道中、車の中はすごい静かで怖い。




…そりゃそうやんな、

あんなことあってんから。








しげをずっと介抱してくれてた照史は

もう真っ白やったブラウスが赤なってて、




病院着いたら着替えられるように

私服だけは積んできた。








神ちゃんは神ちゃんで

もうずっと目うるうるさせてて、




もちろん俺も、

頭の中は不安でいっぱいやった。








「照史…… 神ちゃん。ありがとう。」


桐「…なにがや？」


神「ほんま…。」


「いや…… しげのこと、
俺何も出来んかったし…… ありがとう。」








結局それっきり一言も喋らんまま、

気づいたらでっかい病院に着いてた。








.








マネ「連絡してきますので、ここで。」








俺らを連れてきてくれたマネが、

しげを運んでくれたマネに電話をかける。




ほんなら今処置中らしくて、

しばらくロビーで待たされた。








それからしげに会えたのは

2時間ぐらい経ってからやったと思う。




相当長い時間、

俺らは落ち着かへん気持ちでソワソワしてた。








.








神「しげ……っ！」








病室入るなり、

神ちゃんはしげに駆け寄っていく。








酸素マスク付けて、点滴して、

よう分からん機械並んどって、




いかにも重病人やったけど

しげはちゃんと意識があった。








「しげ…。」


重「……ごめん、…な。」


桐「あほ…っ。謝らんでええ。」









申し訳なさそうに謝るしげを見て

一番に思ったのは、




生きとって良かった。




無事で良かった。








だってそんぐらい、

ほんまにやばいと思ったから。








マ「とりあえず今日は入院で、
明日も一日検査だそうです。」


桐「分かりました。
他のメンバーにも言うときます。」


マ「お願いします。」


神「……ゆっくり休みや？
知らんうちに、無理しぎやねん。」


重「ぉん……。ほんま、すまん…。」


「また明日も来るから。」


重「ん、…待っとる。」








いつもやったら反抗してきそうやのに

やけに素直なしげ。








俺たちはいつも通りを装って




不安な気持ちに蓋すんので精一杯やった。

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