13-01 私の方、あんたの方 ページ1
◆ 2004.12.16 / 9:35PM ◆
・・《A》・・
心臓が少し嫌な音を出し始める。私はこの音の正体を知っている。
オッパ相手にはもう何度も味わった。……不安だ。
このままだとこの心臓の音に負けそうになる気がして、一度目を閉じて息を整えながら頭の方に集中力を注ぐ。
そうしてイ・ドンヘの出した言葉や表情の意味を考えるけれど、何個か引っ掛かるものが事実ある。
付き合ってはいないけど―、とあの綺麗な瞳に絆されて普通に答えてしまったが、付き合う事になったの―、という聞き方はやはりおかしくないか?
普通に考えたらそうなんだけど、如何せん…ずーっと初めから話が噛み合わないから、言葉のあや的な感じなのだろうか。
『……ヌナ?確かに…気持ちは本物だとは思うんだけど…でも…』
遠慮がちな声がするが、ほらまた。何でそんな物の言い方をするんだろうって引っ掛かってしまう。
パチリ、目を開けてみればそこには箸置きに綺麗に揃えて置いた状態の箸をイジイジと触るイ・ドンヘがいる。
そのまま不安げな上目遣いで私を見つめて来るから無性に腹が立った。
不安にさせられてるのは私の方なのに、何であんたの方がそれよりも不安そうなんだ、と。
『どこからやって来たかも分からないあんたが、オッパの何を知ってるのよ!』
指を差しながら言ってやったらイ・ドンヘは瞬時に眉間に皺を寄せて、私から目を離す事はせずに何度も瞬きを繰り返す。
そしてすぐに私が突き出した人差し指を掴んで来るから折られるかも、と少しだけ焦ったのに、折れたのはイ・ドンヘの首の方だった。
真横に折れた首と難しい表情。
そこから読み取れるものは、お前は何を言ってるんだ、的なものだが、私からすればあんたが何やってんだと言いたい。
こいつもこいつなりに色々と考えを巡らせているのか、小さくコロコロと表情を変えては何やら小さく声を漏らす。
『あれ…え…まさか…そっちの方だったとは……マジか…でもでも……』
挙句には空いている方の手で頭を抱え出し、すっかり自分の世界に入り込んでしまっているようだが、一つ忘れているものがあると思う。
うん、私の事ね!あんた私の存在忘れていない?!
それからもう一つ。とりあえず指っ!離せっ!
思い切り振り解いてやったらイ・ドンヘは慌てて頭から手を離して驚いた様に見て来たが、それよりも多分驚いたのは私の方。
『え…何で…泣いてんの?』
ていうか何であんたの方が泣くの…?
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モジョ(プロフ) - ☆さん» >☆さん★ アハッ!いつも☆さんからのコメントに笑っちゃいます ( ´艸`) センス良過ぎて面白いです!あっちゃ〜でしょ。イ・ドンヘ。悪気はないんでしょうけどねぇ(^▽^;) 困った子だ。それが…アホの子(笑) (2014年3月13日 0時) (レス) id: 7f5f6342c2 (このIDを非表示/違反報告)
☆ - あっちゃ〜…イ・ドンヘ…(´Д`;) (2014年3月8日 9時) (携帯から) (レス) id: bef05bddeb (このIDを非表示/違反報告)
モジョ(プロフ) - ☆さん» >☆さん★ ふふふ…センスの良いコメントありがとうございます ( ´艸`) イ・ドンヘ…について全然書いてないので、犬っころちゃんがどんどん嫌な感じになってしまうのが悩みどころです(; ̄^ ̄)むぅ… (2014年3月2日 3時) (レス) id: 7f5f6342c2 (このIDを非表示/違反報告)
☆ - …イ・ドンヘ…(-◇-;)Part2(笑) (2014年2月23日 9時) (携帯から) (レス) id: bef05bddeb (このIDを非表示/違反報告)
モジョ(プロフ) - Rinkaさん» >Rinkaさん☆ こちらこそいつも嬉しくなるようなコメントを下さって、ありがとうございますm(__)m こうして楽しみに待って下さっている方がいるんだなと思うと、幸せだなぁって、ほっこりします(*´□`*)♪ そんな幸せをいつも下さってありがとうございます♪ (2014年2月23日 2時) (レス) id: 7f5f6342c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モジョ | 作成日時:2014年1月20日 22時