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コトン、とAの目の前にコーヒーを置くと






「…まだこのマグカップ残しててくれたんだ」






そう、ポツリとAが呟く。







何故ここに来たのか。







何故実家じゃなくてここなのか。







…だいたい見当はつくけれど、俺からはそれを聞くことはできなくて。








「母さんも…篤人くんも。心配してんじゃないの?」







こんなときでも俺は兄貴面しかできない。







「…わかってるくせに」







そんな俺に、Aは







今にも泣きそうな顔で、笑いかける。







「ハネムーン、フランスなんだろ?
いいじゃん。ずっと行きたがってたじゃん。
お土産、俺の分忘れんなよ?」







俺がそれに気付かないフリをして笑うと。








「…私、やっぱり結婚なんかしたくない」







俯くAの口から、か細い声が出た。







「…え?(笑)」







全てを理解した俺は、それでもシラを切る。







「A、いくら寂しいからって「潤が…っ、好きなの!」







そんな俺の言葉を、Aが遮って。







「結婚なんて、しなくていいよ…っ
潤のそばにいるのが1番幸せだって思ってる。今も」







堰を切って溢れ出した涙で顔をグシャグシャにしながら、話す。







「普通の幸せなんか、いらないっ」







「A…」







「離れ離れなんて嫌だよっ…」







「A」







「潤がっ…好きなの!
潤じゃなきゃイヤなの…っ、ンン」







耐えきれずにキスを落として。








「…A」







Aを、きつく…きつく抱きしめる。








初めて寝た、あの日を思い出した。







俺の名を呼ぶ、Aが。






俺の手を握る、Aが。







愛おしくて愛おしくて。








幸せで、どうにかなりそうだったのを思い出す。







Aが、くっ…と嗚咽を漏らす。








「…A、聞け」







泣きながら震えるAの肩を抱き、そっと囁いた。

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きのぴす(プロフ) - りおんさん» りおんさん、最後までお読みいただきありがとうございました(T_T)とても嬉しいコメント…ほんとうにありがとうございます。そう言ってもらえるような作品が書けたこと、とても嬉しいです(T_T)ほんとうにありがとうございました(T_T)! (2014年12月12日 14時) (レス) id: 7083c37e34 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴす(プロフ) - まりさん» まりさん最後までお読みいただき、ありがとうございました〜(T_T)本編も、その他のスピンオフもまだまだ続きますのでよろしくお願いします! (2014年12月12日 14時) (レス) id: 7083c37e34 (このIDを非表示/違反報告)
りおん(プロフ) - 完結お疲れ様です!兄妹恋愛、よく見るのですが、今までで一番感動しました!キュンキュンして号泣させてくれる、素敵な物語に出逢えました。ありがとうございました! (2014年12月8日 0時) (レス) id: 3138ecfc9d (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - きのぴすさん、シークレット完結お疲れ様でした!もう潤くんは辛かったです~(><)本編のラブストーリーもハラハラな展開ですが楽しみにしてます(^ω^)★ (2014年12月7日 22時) (レス) id: e4c53d1278 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴす(プロフ) - sakuranboさん» 果たして幸せになれるのかどうか…結末を2つ用意してるんですけどどちらもしっくりこなくて今もんのすごく悩んでいます(笑) (2014年10月8日 17時) (レス) id: 7083c37e34 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きのぴす | 作成日時:2014年4月24日 17時

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