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カチャン、と。震えるAの手が
俺と、俺の前に座る奴のコーヒーを、置く。
「へぇ?すっかりこの家の住人なんだな?A」
そんなAをあざ笑うかのように。そう、吐き捨てる…目の前の、男。
「…Aが毎週のようにここへ来て、泊まって帰っていくことを、探偵事務所の人に調べてもらって知ったんですよ」
いやらしい笑みを浮かべて、俺に話しかける、男。
「家の中も?…何もかも2人分。まるで新婚みたいっすね?お兄さん」
気持ちわりぃ、と。目の前の男が吐き捨てた。
「俺はまだコイツと離婚してない。なのに?他の男…しかも血縁者と不倫って…気持ち悪すぎるだろ(笑)」
そのままテーブルを蹴飛ばして。テーブルの上にあったコーヒーが、絨毯を汚す。
「お兄さん、あんた自分で何してんのか知ってんの?あんたら兄妹だろ?なのになんでそんなことしてんだよ(笑)人じゃねぇだろ!あ?!」
胸ぐらを勢いよく掴まれる。
大きく震えながら、やめて!と叫ぶAの声が、聞こえた。
「…本気で、妹に恋したら悪いか」
「…は?」
掴まれた腕を掴んで、思い切り睨み上げる。
「悪いのかよ!!!!!」
気持ち悪いと。
人にAとの関係がバレたら、そう言われるんだろうなと、覚悟していたはずだった。
…でも。俺の職場の能天気3人組は。普通に。笑ってしまうほど普通に。受け入れてくれた。
だから、油断してたのかもしれない。
バレた、という現実に。
気持ち悪い、という世間一般の声に。
心が、抉られる。
「お前ら…ほんと、頭おかしすぎんじゃねぇの?気色悪い…
この件はお前らの母親にも報告するからな!」
自分の罪を棚に上げて。俺たちに侮蔑の言葉を吐き捨てて、あいつは、帰っていく。
「…潤」
この世の終わり、というくらい絶望に染まった、Aの声。
幸せで。でもどこか後ろめたかった。そんな日々が…終わる。
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きのぴす(プロフ) - りおんさん» りおんさん、最後までお読みいただきありがとうございました(T_T)とても嬉しいコメント…ほんとうにありがとうございます。そう言ってもらえるような作品が書けたこと、とても嬉しいです(T_T)ほんとうにありがとうございました(T_T)! (2014年12月12日 14時) (レス) id: 7083c37e34 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴす(プロフ) - まりさん» まりさん最後までお読みいただき、ありがとうございました〜(T_T)本編も、その他のスピンオフもまだまだ続きますのでよろしくお願いします! (2014年12月12日 14時) (レス) id: 7083c37e34 (このIDを非表示/違反報告)
りおん(プロフ) - 完結お疲れ様です!兄妹恋愛、よく見るのですが、今までで一番感動しました!キュンキュンして号泣させてくれる、素敵な物語に出逢えました。ありがとうございました! (2014年12月8日 0時) (レス) id: 3138ecfc9d (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - きのぴすさん、シークレット完結お疲れ様でした!もう潤くんは辛かったです~(><)本編のラブストーリーもハラハラな展開ですが楽しみにしてます(^ω^)★ (2014年12月7日 22時) (レス) id: e4c53d1278 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴす(プロフ) - sakuranboさん» 果たして幸せになれるのかどうか…結末を2つ用意してるんですけどどちらもしっくりこなくて今もんのすごく悩んでいます(笑) (2014年10月8日 17時) (レス) id: 7083c37e34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きのぴす | 作成日時:2014年4月24日 17時