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「A!!!!!」







30分くらい経って、母さんがやってきて。








Aの姿を見て、涙をこぼす母さんに








「お母さんっ…ごめ、んね…っ」







ボロボロと涙を零すA。

































篤人くんにされたことを。







この半年で起きた出来事を。







泣きじゃくりながら話すAの声に、心が張り裂けそうになりながら耳を傾ける。























初めは、ささいな喧嘩が原因だったのだと。
Aが苦笑しながら呟いた。







「叩かれたの。軽く。
本当に軽くだったから、私も別に変に思ったりしなかった。
…でも、喧嘩するたびにエスカレートしていった」







友達と会ってから帰れば、誰とどこにいたのかと詰問し。







スマホも没収。パソコンも電話も、篤人くんがいないときは触ってはダメ。







「友達と会ってるだけなのに。浮気してんだろ、とか…俺は知ってるんだからな、って。
お母さんと電話してても、隣には篤人がいるから、助けてって言えなくて…」







ハァ…と震えながら息を吐いたAは、カバンから書類を取り出した。








「友達に相談したくても、家に行けば友達にまで危害が及ぶし。実家に帰りたくても、場所もバレてるから連れ戻されるって思って…できなくて。
怖いの。人前ではあんなに人当たりのいい篤人が、家の中では悪魔みたいで…
何か口答えすると、すぐに…殴られて。
前は手だったけど、最近はずっと…バットとか、食器とか、だった…」







もう我慢の限界だったAは、篤人くんに「離婚してください」と告げて、離婚届を渡した。…けれど。







それが、逆効果だった。








「やっぱり俺以外の男がいたんだな、って…
全員殺してやるって…包丁向けられてっ…
どうしよう。もし私の友達が殺されたら、私どうすればいいのっ?
私だけこんなところに逃げて…友達に危害が及んだら…っ」






再び大きく震え始めるAの肩に手を添えて、怒りに震えた母さんが、俺に告げた。







「…警察に、行きましょう。被害届を、出しに行きましょう」







ね?と母さんがAに言うと、Aは力なく首を振った。








「…2回くらい、逃げ込んだけど。ダメ、だった。言ったでしょ…篤人は人前ではいい人を演じるんだよ…」







絶望が部屋を包んだとき、俺は立ち上がって、静かに告げた。







「…俺が、行く。」

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きのぴす(プロフ) - りおんさん» りおんさん、最後までお読みいただきありがとうございました(T_T)とても嬉しいコメント…ほんとうにありがとうございます。そう言ってもらえるような作品が書けたこと、とても嬉しいです(T_T)ほんとうにありがとうございました(T_T)! (2014年12月12日 14時) (レス) id: 7083c37e34 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴす(プロフ) - まりさん» まりさん最後までお読みいただき、ありがとうございました〜(T_T)本編も、その他のスピンオフもまだまだ続きますのでよろしくお願いします! (2014年12月12日 14時) (レス) id: 7083c37e34 (このIDを非表示/違反報告)
りおん(プロフ) - 完結お疲れ様です!兄妹恋愛、よく見るのですが、今までで一番感動しました!キュンキュンして号泣させてくれる、素敵な物語に出逢えました。ありがとうございました! (2014年12月8日 0時) (レス) id: 3138ecfc9d (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - きのぴすさん、シークレット完結お疲れ様でした!もう潤くんは辛かったです~(><)本編のラブストーリーもハラハラな展開ですが楽しみにしてます(^ω^)★ (2014年12月7日 22時) (レス) id: e4c53d1278 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴす(プロフ) - sakuranboさん» 果たして幸せになれるのかどうか…結末を2つ用意してるんですけどどちらもしっくりこなくて今もんのすごく悩んでいます(笑) (2014年10月8日 17時) (レス) id: 7083c37e34 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きのぴす | 作成日時:2014年4月24日 17時

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