【神威】第七師団団長の秘書様［4］ (ページ9)

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　騒ぎの中、音を立てずにターゲットとの距離を詰める。さすがは殺し屋である。

　そして、男が他の客の財布を手に持った瞬間を狙って、綸榭はその腕を掴んで捻り上げた。

「痛っ！何すんだこの女(アマ)！」

「この財布、キミのじゃないよね？」

「これは私の財布よ！なんでアンタが持ってるの?! 今すぐ返して！」

　財布の持ち主が気づいて声を上げた。
　綸榭が力ずくで男の手から財布を奪い、中を開けて身分証を取り出す。こういう時、夜兎の強さは頼もしい。

「これで財布の持ち主が証明されたね。そこで騒いでた人、キミもグルだよね？店員さん、警察呼んで」

　綸榭はテキパキと解決に動き、事態は収束した。

「さてA、警察(サツ)が来る前に店出るよ。アタシは仕事柄あんま関わりたくないんよ」

「そうだね、行こうか」

「それにしても、Aはすごいねぇ。あの店で気づいた人はアンタだけだよ。あの男に飽きたらアタシと組もう。Aが考えて、アタシが実行する。絶対いいコンビになるよ」

「……悪くないかも」

　Aは少し楽しそうだと思い始めていた。いつの間にか、綸榭への引け目もほとんど感じていない。
　連携して騒ぎを解決したことで、友情が芽生え始めていた。