Secret Face……1 〈D.A〉 (ページ37)

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｢あー…、俺らも帰るか｣

去っていく伊野尾くんを見送ったあと、

大貴くんは頭をかきながらはにかんだ

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改めて前髪が短くなってすっきりした

彼の顔を見て、かっこいいな…と思う

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恥ずかしくなって目線を外してうん、と答える

自然と離れる手が少し寂しい

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それから特に会話は無かったが、

なぜか無言の時間がとても心地よく感じられた

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二人の分かれ道

じゃあな、と帰ろうとする大貴くんに

待って、とこちらに意識を向かせる

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｢さっきは伝え忘れたけど、

大貴くんが今日言ってくれたこと本当に嬉しかった｣

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しっかり目を見てはっきり伝える

大貴くんにちゃんと伝わるように…

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｢大貴くんが私と帰る時間を好きって言ってくれたけど

…きっと私の方が好きだから！｣

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と、いたずらっこ同然のような笑顔で伝え、

彼の胸あたりをポン、と叩く

そしてじゃあね、とくるりと帰る方向に向かって歩く

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ふと、後ろを振り向くと

大貴くんが微笑んで手を振っていたので

振り返した

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