気まぐれ、猫系 -Jr.

cater-30 ページ30

･



　大「悪い…」




　あ「病人のくせに口は元気ですね」






･






　 謝んないでください、って言えば





　 また


　 ごめん、って小さく呟く。





･




　 普段強気な大我先輩が、何故こうなっているか



　 というと。






･





　あ「……すっごい熱いんですけど」



　大「…ん、」




･




　 鞄を置くついでに、額に手を当てたら



　 学校に居たときより明らかに熱は上がっているようで。




･




　 苦しかったはずなのに、保健室でも帰り道でも。









　 気遣ったように喋ってくれてたことが




　 申し訳なくなったから。





･





　 そのまま家にお邪魔して



　 看病することにした、という経緯。







･







　 変なとこ、優しいのがこの人で。









　 先輩は、最初何故だか渋ってたけど



　 私がやりたいんですからって言ったら






　 ようやく頷いた。








･･








　 先輩の部屋に入ったら、先輩の匂い。






　あ「着替えた方が良いと思いますけど…」




･




　 シンプルにまとまった部屋の


　 隅のベッドに転がり込んだ先輩に言うけど






･






　 無反応。









　 …返事の代わりに、少し荒い息遣いが



　 無音の部屋に響く。






･






　あ「制服皺になりますから…」






　 さっきとは、ちょっと違った








　 …ほんとに怠そうな背中に。







　 溜息を吐く。



　 流石に着替えくらいしないと、寝るときにも辛いだろうなって。





･





　 ワイシャツのボタンに手をかけても


　 いつものことだから





　 あんまり気にしてないみたいだったけど





･





　 流石に着替えのスウェットを手に持ったら。




･




　大「A…、それはいい…」




　 って、まともに制された。






･






　 …確かにまずいかなとは思ったけど。




　あ「先輩着替えないじゃないですか自分じゃ、」




･




　 指摘されて、やっぱ変なのかって



　 実感して。






　 正直









　 穴があったら入りたいくらい、恥ずかしい。





･





　 言い訳するように言ったら



　 苦笑いして






　 熱った顔を近づける。







･








　大「Aは…








･








　 俺に何かされたいの？」

cater-31→←cater-29

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す