6mm.

☆.こばやし せいじ。 ページ39

(しほ様リクエスト作品)






彼、のことを私は勘違いしていた。






小林誠司という人は、たしかにイケメンだけど、不器用でシャイで、恥ずかしいことはしない人だと思っていた。

しかもそれが野球のためでも、チームの為でも、
自分のためでもないことなら尚更。







「誠司？」

「ん」

「ん、ってこれ、」







例える言葉が見つからない。

彼の腕から溢れんばかりの花束は、赤やピンク、黄色の花で鮮やかに彩られている。私が見た中で、こんな大きい花束はない。








「花」

「それは、見ればわかるけど」

「今日、5年目の記念日でしょ」

「……覚えてたんだ」

「帰りに思い出した」

「ふふ、…ありがとう」








帰りに思い出したからプレゼントはない、と彼は言う。
こんなに大きな花束があるじゃない。
こんな素敵なプレゼント、私はほかに知らないよ。








「綺麗だね」

「好きかと思って、」

「うん、好き」

「良かった」








私の手から零れ落ちそうな花束を、ぎゅうと抱えて、嬉しくて笑うと彼も笑う。照れた顔を見られるのが嫌で、花束で顔を半分隠した。(すっぽり隠してくれた)








「美味そ」

「張り切っちゃいました」

「腹減った、食べていい？」

「どうぞ」







彼、のことを私は勘違いしていた。

私が思うよりずっと彼はロマンチストだ。
そして、とてもとても優しい。
ほら、私の手を握る手はこんなに暖かい。








「いつもありがとう、」







恥ずかしそうに言う、彼が愛しい。
突然抱きしめるから、腕の中で花束が少し潰れた。









〔 ふたりの未来を彩るために 〕







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☆.なかしま たくや。→←☆.やまと。

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