6mm.

☆.にしかわ りょうま。 ページ30

.






「ねぇ、見て西川くんスゴーイ」

「、ほんとだね」

「あ、また打った」

「ね」

「……A、大丈夫？」

「全然大丈夫じゃない」








寒い。
寒すぎる。


まだ11月とはいえ冬だ。
半袖ハーフパンツで外にいるなんて人間じゃない。

つまり、私は人間じゃない。








「…あ、」

「？」

「大丈夫かよ」

「え！？西川くん、」

「なに」

「いや、何でもない、…です」








寒さに震えていて気づかないうちに、西川くんが真後ろにいて、何を察したのか友達は消えていた。

おーい、どこ行った。








「なんでそんな格好してんだよ」

「家にね、ジャージ忘れちゃって」

「あほ」

「……おっしゃる通り、です」








ぐうの音も出ない、とはこのこと。

こんな日にこんな肌見せていたらおかしい。
そもそも冬に体育を外でやるのがおかしいんだ。








「、これ着とけ」







バサリ、とかけられたのはブカブカのジャージ。
それはほんのり温かくて…って、これ！？







「そんな汗くさくないと思うし、」

「いや、でも西川くん寒いからダメだよ！」

「俺は今から動くから平気」

「いやいや体に悪いって」

「…Aが風邪引いたら困る」








何に照れたのかは分からないけど、西川くんの頬は少し赤くなってて、大丈夫、と繰り返す私に無理やりジャージを着させた。








「風邪引いたって部活やってないから平気なのに」

「むり、」

「？」



「俺がAいないと困る」







じゃ、とみんなのもとに帰っていく後ろ姿。

どうだった？と聞いてくる友達の声も耳に入らない。






…ああ、いま完全に恋に落ちた。






〔 Xデーは突然やってくる 〕






.

☆.ふじなみ しんたろう。→←☆.きし たかゆき。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す