2番目に好きな人【Sho】 (ページ9)

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なんて、送ろう。

バイト終わり、早速教えてもらったIDをLINEに登録した私は、平野紫耀にどんなメッセージを送ればいいのかで悩んでいた。

お疲れ様です。…上司かよ。

やっほー！…これは馴れ馴れしすぎる。

こんばんは。…無難にこれだな。

『こんばんは。Aです。LINE登録させてもらいました。よろしくお願いします』

固い。また敬語使ってるとか怒られるかな。
でもまあ、いっか。
えいっと送信ボタンを押した。
すぐについた既読に心臓が飛び跳ねる。

『こんばんは。敬語は禁止って言うたやろ？(笑)』

やっぱり。
不意にこぼれる笑み。

『もう罰ゲームしたもん』
『そっか(笑)働いてるAちゃん新鮮やったわ。また行ってもええ？』
『いつでもどうぞ』

面と向かって顔を合わせていないからなのか素直に言葉が溢れ出てくる。

『いつでもなんて言われたら毎日行ってまうかもよ？』

ゴンと、スマホに頭を打ちつけた。
周りの視線が痛い。
電車に乗っているのをすっかり忘れてた。

はー落ち着け。落ち着け私。

『明日からジャニアイ始まるのに？』
『あ！そうやった！』
『頑張ってね』
『もしかして明日見に来るん？』
『うん。行くよ』
『マジか！見つけたろ(笑)』
『無理でしょ』
『大丈夫。俺、人見つけるの得意やから』

ま、そうだよね。
いつもコンサート中とか自分のファンのこと見つけてるもんね。

『結構出番あるからさ。楽しみにしててな？』

そんなこと言われたって…

『私、岸くんのことしか見ないよ？』
『じゃあ、岸くんが出てない時は誰のこと見るん？』
『…紫耀くん』
『２番目に好きなんやもんな？(笑)』

恥ずかしい記憶を蒸し返されてしまった。
もう忘れて欲しいのに。

『じゃあ、また明日な』
『また明日』

ずっと前から、明日岸くんに会えるのを楽しみにしていたはずなのに。
紫耀くんに会えることの方が楽しみな自分がいる。
これじゃあ、ジャニヲタ失格じゃないか。

いやでも違うな。
私が楽しみにしているのは、アイドルの平野紫耀じゃなくて、ありのままの”平野紫耀”に会えることだ。
だから明日は、私が会いたい”平野紫耀”には会えないのだ。
舞台期間に入るから、明日どころかきっともう当分会えない。

寂しいなんて思う資格なんてないのに。
ああ、私、ただの”平野紫耀”に惹かれ始めてるんだ。
私と接してくれた、ステージの上にいない、"平野紫耀"に。

厄介だ。
こんな感情早く消すべきだ。

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