2番目に好きな人【Sho】 (ページ7)

今日:10 hit、昨日:7 hit、合計:45,191 hit

7. side Sho ページ7

.

ーー紫耀くんのこと２番目に好きです！

フッ(笑)
何度思い出しても笑えるわ。
ほんと面白い女。

「何紫耀ニヤニヤしてんだよ。気持ち悪ぃー」
「え？ジン、俺今ニヤニヤしてた？」
「は？してただろ。思いっきり」

レッスン中に無意識に彼女のことを思い出してニヤニヤしてるなんて相当重症やな。
しかも神宮寺は鋭い。気ぃつけんと。

「好きな女(ひと)でもできた？」
「ブッ」

思わず飲んでいた水を吹き出してしまった。

「マジかよ(笑)今日レッスン終わったら飯行こう。話聞かせろよ」

俺は好き、なんやろうか彼女のこと。
いや、好きとは違う気がする。まだ。

Aちゃんは可愛い。
いや、可愛いというよりも綺麗の方がハマる。
でもそれはどちらかというとだ。
別にもっと可愛くて綺麗な子なんて他にいくらでもいる。
特別俺のタイプってわけでもない。

でも、岸くんの話をする彼女は特別可愛かったな、なんて。
キラキラと瞳を輝かせて楽しそうに岸くんの話をする彼女を思い出した。

その顔を俺だけに見せてくれへんかな。
俺だけのものにできたら…ただ、そう思ってしまっただけなんよ。

“まだ”って言ってる時点で俺はもう彼女のこと好きになりかけてるって認めてるみたいなもんやけど。

「うっわマジか！よりによって岸くんのファンかよ。大丈夫なの？」

鍋をつつきながら神宮寺が聞いた。
コイツの言いたいことは分かる。
あらかた俺が利用されてないか心配なんだろう。

「大丈夫。Aちゃんは頭のええ子やから」
「ふーん？ならいいけど」

そう。彼女は頭がいい。
初めて会った時は、好奇心と喜びで溢れる目で俺を見ていたのに、その次に会った時は確実に線を引いてきた。
俺じゃなくて、彼女がだ。

俺は芸能人で、彼女は一般人。
住む世界が違う。それは俺にもわかる。
俺でも分かるんやから、彼女はもっとそのことを分かっているわけで。
下手に俺に近づきたくないんやろう。

でもそんなに考えすぎなくてええのに。とも思う。
だから俺は駆け引きを仕掛けた。
彼女が素直になってくれるための駆け引き。

頭のいい彼女なら、言わなくても、俺の言わんとしてることを全部汲み取ってくれると思ったから。

ーーさよなら。平野さん

それは、君もまた、俺に会いたいって思ってくれたってことでええよな？

ーーうん、好き

いつか君の”好き”を俺だけのものに出来る日は来るんやろうか。
俺は君の1番になれるんやろうか。

.