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もういいのかな。もう。
素直になっていいのかな。
今まで頑なに開こうとしなかった心が紫耀くんによってゆっくり溶かされていく。
ただ単純に。
アイドルだとか、ジャニーズだとか。
そんなことは関係無しに。
そしたらもう答えは単純明快だ。
今度は首を縦に振った。
「”はい”か”いいえ”で答えてな?俺と付き合ってくれる?」
ズルいなぁ。本当に。
私は絶対貴方に敵わないんだ。
この先どうなるかなんて知らない。
辛くて苦しい事が待ち受けているかもしれない。
でも、忘れようと思っても忘れられなかった。
忘れようと思えば思うほど、どんどん好きになっていった。
どうせ辛くて苦しいのは今も同じだ。
だったら。
紫耀くんが好きで、紫耀くんのそばにいたい。
その気持ちに正直になっていいのかなって。
「…はい」
ガンっと紫耀くんがテーブルに頭を打ちつけた。
「…紫耀くん?」
「あーあかんわ。俺絶対今めっちゃニヤけとるもん」
キュンと胸が音を立てた。
頭撫でたいな、なんて。
素直になった途端に溢れ出す色んな感情。
私はどうやって今まで平静を保っていたんだろう。
「Aちゃん、そっち行ってもええ?」
チラッと私の様子を伺うように、上目遣いで私を見た。
嫌なわけないじゃないか。
小さく頷いた私を見て、ふふんと満足げに笑うと紫耀くんは私の隣に腰掛けた。
近い。
今までにない距離感に心臓が口から飛び出そうになる。
そんな私の動揺なんて気づいていないのか、いやお構い無しなのか。
紫耀くんは、さらに私にピタッと寄り添うと、首をコテンと私の肩に乗せた。
「はあ…やっとや。こんなにAちゃんに振り回されるなんて思わんかった」
「ごめんね。面倒臭い女で」
「ほんまに(笑)でもそれでも、Aちゃんがええねん」
「…そっか」
「そっかって(笑)泣くほど俺のこと好きなくせに?」
「え?」
「泣いてたやろ?この前のジャニアイ」
「………」
「素直やないんやから」
すると、紫耀くんはあっと思い出したように座り直すと、私の肩に手を置いて自分の方に向けさせた。
不安そうなまるで子どもみたいな顔。
「なぁ、俺まだ2番目?」
「…そうかも」
「はぁっ!?」
「でもそれはアイドルの"平野紫耀"」
「"紫耀くん"のこと1番好きだよ」
紫耀くんは「ほんま敵わんなぁ」と笑うと、まるで壊れ物に触れるかのように私を抱き寄せた。
鼓動が重なる。
やっと想いが繋がった。
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ななな - 更新楽しみにしています! (2017年11月1日 21時) (レス) id: ba7bc7167b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優美 | 作成日時:2017年10月24日 1時