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「え、紫耀どうした。そんな死にそうな顔して」
Princeの楽屋に入ると、俺の顔を見た神宮寺が驚いた声をあげた。
玄樹と岸くんはまだ来てないらしい。
「振られた…」
「は?」
「いや逃げられた…」
「ちょっと待て!順を追って説明してくれ」
宥めるように俺の肩に手を置いた神宮寺に、俺はさっきあった出来事を説明した。
「うーん…別に脈なしって訳じゃなかったんだろ?」
「…多分」
「まあ先を急ぎすぎたんじゃねぇの?」
「俺だって
はあ、と深いため息がこぼれた。
なんであんなこと言ってしまったんやろ…
今はもう後悔しかない。
彼女は慎重な
「紫耀のそんな顔初めて見たわ(笑)」
「お前楽しんどるやろ…」
「ごめんごめん(笑)それほどハマっちゃったんだな。その子に」
…そうだよ。
まだ好きじゃない。
そう思ってたのに。
その”まだ”をAちゃんはあっさり超えてきたんだ。
こんなに好きにさせておいて、何も言わずに逃げるなんてあんまりだ。
「なぁ、ジン。俺どうしたらええ?」
「連絡は?」
「つかへん。多分ブロックされた」
「ブッ(笑)翻弄されてんなー(笑)」
「うっさい」
神宮寺はゲラゲラ笑った後、俺を真っ直ぐに見据えた。
まるで試すような目つきで。
「その子はさ、別に紫耀を嫌いになった訳じゃないと思うよ。多分色々格闘してんだろうな。俺らって普通じゃないからさ。しかもその子は岸くんのファン。紫耀にはさ、ちゃんと覚悟あるの?」
「…覚悟?」
「その子の不安を全部取り除いてあげる覚悟。その子一筋縄じゃいかないみたいだし?相当めんどくさいと思うよ?それを全部乗り越えてまで彼女と付き合いたい?本気で好き?」
別に彼女より可愛い子も、綺麗な子も他にいくらでもいる。
もっと簡単に手に入れられる子だって。
何でなのか自分でも分からない。
でも、君よりいい人なんていないんだよ。
「Aちゃんがええ」
机に突っ伏しながらそう言った俺に神宮寺は「子どもかよ」と笑った。
「それ俺じゃなくて本人にちゃんと伝えろよ?」
「…おう」
ーーありがとう。バイバイ。
LINEに表示された君からの最後のメッセージ。
これで終わりにしてたまるもんか。
"2番目でいいから"なんて嘘だ。
俺は君の1番になりたい。
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ななな - 更新楽しみにしています! (2017年11月1日 21時) (レス) id: ba7bc7167b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優美 | 作成日時:2017年10月24日 1時