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私はカフェでバイトしている。
大学1年生の頃からずっと続けてるからもう3年目。
すっかり慣れた。
バイト先のカフェがあるのはジュニアがよく出没することで有名な某街だが、生憎、遭遇したことは一度もない。
今日もいつも通りバイト先に向かう。
こうやってキョロキョロと誰かいないかなと周りを見回すのはもう癖だ。
我ながら気持ち悪いのは自覚している。
ま、いるわけないかと視線を前に移すと…
え、嘘でしょ。
そこにはサングラスをかけ、堂々と街を歩く平野紫耀がいた。
ど、どうしよう。
声、かけてもいいのかな?
絶対迷惑だよね…
でも…ここで声をかけなかったらきっと後悔する…!
よし…!
脳内で葛藤したのはおよそ3秒。
「あ、あの!もしかしてジャニーズJr.の平野紫耀くんですか…?」
「…そうですけど」
平野紫耀は、サングラスを少しだけズラして私を見た。
やばい。カッコイイ。
「あ、握手して貰ってもいいですか?」
「ええよ(笑)」
ふんわりと笑った顔は、雑誌やテレビでみる人懐っこい笑顔そのまんまだった。
「ありがとうございます」
どうしよう。私本当に平野紫耀と握手してるんだ…会話してるんだ…
ぼーっと夢見心地のような気分の中にいたのも束の間。
当たり前だけどあっさり手が離れた。
勝手だけれどこのまま別れるのが名残惜しくて、私は勢いのままに馬鹿なことを口走っていた。
「岸くんがいつもお世話になってます!」
平野紫耀がポカン…と私を見つめた。
やってしまった。
しかし、それでも止まらない私の口。
「ごめんなさい!私何言ってるんだろう!あ、私岸くんのファンで。その、紫耀くん岸くんと仲良いから!あ!私きしひらコンビが好きで!…ってごめんなさい。勝手にベラベラと…」
次の瞬間、「ブハッ」と紫耀くんが吹き出した。
「あんたオモロいな?(笑)」
「え、そうですか…?」
「うん(笑)こんな子出会ったことない。でもまー岸くんのファンかー。なんか分かるわ(笑)」
果たしてこれは喜んでいいのだろうか…?
ちょっぴり失礼な気もするが…
ごめんね。岸くん。
「ま、岸くんだけやなくて俺のことも応援してくれると嬉しいです」
ニコッと微笑んだ紫耀くんに、懲りずにまた私は馬鹿なことを言ってしまったんだ。
でもこの言葉が私の運命を変えたなんて、この時は思いもしなかったけど。
「あ、でも私…」
「紫耀くんのこと2番目に好きです!」
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ななな - 更新楽しみにしています! (2017年11月1日 21時) (レス) id: ba7bc7167b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優美 | 作成日時:2017年10月24日 1時