１５９☆ ページ39
掃除を終えて買い物に出掛けたスーパーで、偶然見つけたマリエさんが表紙のファッション誌。
やめればいいのに、怖いもの見たさで手に取った。
小さい顔にくびれたウエスト。
ミニスカートからスラリと伸びた長い足。
それにこんな細くても胸は大きい…。
お店の窓ガラスには自分の姿が映ってて…
やっぱり見なきゃよかった…。
ため息をついて雑誌を棚に戻した。
何と無く買い物する気分…
翔ちゃんにご飯作る気分にはなれなくてそのままスーパーを出てブラブラとあてもなく歩く。
『女子力を上げよう！』なんてキャッチコピーが掲げられてる美容室のショーウインドに映ってる自分は女子力なんて欠片もない。
ごくごく普通のカットソーにデニムのパンツ。
眉毛以外はノーメイクで髪もシュシュで纏めただけ。
まぁ…マリエさんだったら、この格好でも綺麗なんだろうけど…。
やっぱりこんな私は翔ちゃんの隣にいちゃいけないよね？
翔ちゃんに全然釣り合ってない。
もう少し自分磨きしないと…
元がこれだからあそこまでは無理だけど…。
バックの取っ手をギュッと握り、勢いのままその美容室のドアを開けた。
・・・髪をばっさり切ってパーマもかけた。
親切な美容師さんが完璧自己流だったメイクのコツみたなのも教えてくれて。
帰りに可愛いワンピースや靴を買ったり、長い事忘れてたオシャレをする楽しさに気持ちも軽くなって。
気持ちも心機一転で、買い物を済ませて帰ってきてルンルンでご飯の支度も済ませてワンピースに着替えて翔ちゃんを待つ。
どうだろ？
『可愛いじゃん？』って笑ってくれるかな？
その前に気づいてくれるかな？
気づくよね？
背中半分まであった髪を肩まで切って、パーマもかかってるし。
翔ちゃんの第一声が楽しみでしょうがない私。
翔ちゃんと知り合ってからは、ずっとロングだったし。
翔ちゃんの帰るコールを今か今かと待っていた私に届いた携帯の着信音。
「はい！翔ちゃん？」
ーははは。出んの早っ(笑)
「うん！待ってたの。」
ーんとに…可愛い事言ってくれんのね？
「うん。もう帰れるの？」
ーあ〜…いや…。
言い淀む翔ちゃんに嫌な予感。
「翔ちゃん？」
ーあ…っとさ？ちょっと野暮用ができて。
やっぱりね…。
「お仕事？」
ーみたいなモン。マリエとかその仲間と…な？
「…そっか…うん。しょうがないよね…。」
よくある事だから慣れっこ…。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2014年10月9日 6時
